著者
小林 航
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.213-226, 2005 (Released:2022-07-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本稿では,消費者部門に特化した簡易モデルを用いて,炭素税導入とともに他の税目を減税する税収中立的な環境税制改革の帰結を分析する。特に,社会保険料や労働所得税を減税対象とするケースにおいて2つ目の配当が正になること,および炭素税の逆進性と労働所得税の累進性からこのような環境税制改革は公平性を大きく損なうものの,正の不平等回避度のもとでも非環境的厚生が増加する可能性があること,などが示される。