- 著者
-
赤井 伸郎
倉本 宜史
- 出版者
- 日本財政学会
- 雑誌
- 財政研究 (ISSN:24363421)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.199-223, 2014 (Released:2021-10-26)
- 参考文献数
- 11
本稿は,将来の港湾の整備・運営の在り方を考えるうえで欠かせない視点として,港湾連携の実態を把握するため,これまでになされた港湾投資のパネル・データから,港湾間競争とも言える国内の港湾同士の相互依存関係の実態を検証するものである。また本稿は,現状把握や分析の工夫により,これまで行われてきた港湾政策を,港湾間の競争の観点(国内の港湾同士の相互依存関係)から,その実態を明らかにする点で意義が高いと言えよう。分析の結果,港湾間で競争がなされてきたこと,また,その競争に影響をもたらす参照先や港湾規模によっては,競争の程度が異なることも見出された。国内の港湾間に競争が存在するという,この結果は,連携の必要性を示唆しており,連携に向けては,港湾間の相互参照先を考慮したうえで,補助政策を含めた,より一層の国家戦略が必要であることを示唆していると言えよう。