著者
杉野 衣代
出版者
大阪市立大学都市研究プラザ
雑誌
都市と社会
巻号頁・発行日
no.3, pp.104-127, 2019-03

ハウジングファースト(Housing First)は1992年に米国ニューヨーク市で始まったホームレス支援方式であり、まず先に住まいを提供しその後本人のニーズに応じて支援を提供するモデルである。本稿では、近年東京において始まったこのハウジングファーストという支援方式に着目する。筆者は「ハウジングファースト東京プロジェクト」構成団体の支援活動に参加しながらインタビュー調査を実施するアクションリサーチを行った。本稿では、3名の若年ホームレス経験者の事例を中心に9名(内4名はスタッフ)のインタビュー結果からハウジングファーストによる支援プロセスを明らかにすることを試みた。その結果、ハウジングファーストは、ホームレス状態から移行するシェルター入居時にハウスとホームというホームレス経験者にとっての生きる基盤を無条件に得ることができる支援モデルであることが分かった。本稿で扱った事例は少数ではあるが、既存の支援実践に加えてハウジングファーストも広く普及していく意義がある実践ではないかと考える。
著者
俞 世洋 張 慶遠 栄 益 張 暁飛 張 旭 岡野 浩[編] 金 大一[編] 邬 素雅[編]
出版者
大阪市立大学都市研究プラザ
雑誌
都市と社会 (ISSN:24327239)
巻号頁・発行日
no.5, pp.42-51, 2021-03

2020年の新型コロナ・パンデミックは、世界的な経済発展の一時停止ボタンを押し、国内外産業の事業運営にも大きな影響を及ぼしている。本稿では、正常軌道に戻したかに見える中国における化粧品および自動車製造企業、中小の部品サプライヤーにとって突如としてコロナに見舞われた際に、オンラインのライブ配信をはじめデジタル・トランスフォーメーションなどを駆使するなどして、いかにして対応したか、また、アフターコロナ時代における姿勢や方向性について編者の求めに応じて示していただいた。本稿において共有されるコンテンツは、世界の人が様々な経験から学び、将来の不確実なリスクに対する抵抗力を高めることを目的としている。なかでも、サプライチェーンの再構築は、常にユーザーのニーズを一義的に捉えながら、革新的な研究開発の活力を維持し、優れた品質の製品が常に業界の発展の力の源であることが保証されるべきという点は重要であろう。