著者
山口 敦 石原 孟
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第21回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.215-220, 2010 (Released:2011-07-27)

本研究では,気象シミュレーションと台風シミュレーションを用いて観測値が得られない場所における設計風条件を評価する手法を提案し,銚子気象台における観測データを用いて検証した.その結果,以下の結論が得られた. 1) 銚子気象台においてメソスケール気象解析と局所風況予測モデルにより推定した年平均風速と風速出現頻度分布は観測値とよく一致する. 2) 銚子気象台において,気象解析と台風シミュレーションにより推定した再現期間別最大風速は観測値とよく一致する. 3) 100年の年最大風速から求めた50年再現期待値は100年以下の観測データより求めたものと一致するが,1万年の年最大風速から求めた50年再現期待値はそれよりも小さな値となる。このことから,長期のシミュレーションにより,従来の比較的短期間から求めた50年再現期待値よりも低い設計風速を設定することが可能となることがわかった。
著者
ファム バン フック 野津 剛 野澤 剛二郎 菊池 浩利
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第21回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.155-160, 2010 (Released:2011-07-27)

竜巻状旋回流の移動効果による建物の風圧の変化を明らかにするために,移動式数値シミュレータを構築し,数値実験により静止状態旋回流に置かれた立方体の風圧変化と,移動している旋回流が通過する時の立方体の風圧の変化と調べた.本検討ケースでは静止状態の旋回流内に置かれた立方体に作用する風圧力では大きな風圧変動がみられず,その風圧係数は約0~-1であった.一方,移動するケースでは旋回流が通過する際に立方体に作用する風圧力が急激に変化し,その風圧係数は±3となっており,建物に作用する風圧に関して旋回流の移動効果が大きいと考えられる.また,立方体の近傍では3次元性の強い上昇流が生じることにより風圧力は大きく変化していることが分かった.