著者
続 幸子
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
Keio Economic Observatory review
巻号頁・発行日
no.1, pp.35-75, 1975-07
被引用文献数
1

物価分析特集. 第I部. スタグフレーションと市場機能. 第2章スタグフレーション期における市場機能の異常を分析するときの実証例として,ここでトイレット・ペーパー市場が選ばれる理由は,政府の「国民生活白書」などにも取り上げられたように,この市場でとくに「買占め,売惜しみ」という買手・売手の異常行動が目立ったということと,この産業はメーカー段階から流通段階までを通じて産業組織論的に言って比較的集中度が低く,市場が競争的であるとされており,急性多占と慢性的独占との識別が容易なことによる。
著者
吉岡 完治
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
Keio Economic Observatory review
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-89, 1975-07

昭和48年はじめ頃から,我が国経済は,異常なまでの物価騰貴にみまわれたといわれる。そして,49年に至って,その物価騰貴がさらに激しくなるとともに,景気後退が並列して観察されたことから,スタグフレーションなる事態がさわがれている。一方,このような経済状態の前ぶれ,ないし,背後の主要な要因として,世界的規模の急激な需要増加が,ファクト・ファインディングとして指摘されている。前論文,及び前々論文は,かかる経済状態にもとづき,polypoly(急性売手多占を媒介とする売り惜しみ)negopsony(急性買手負占による買い急ぎ)の理論,及び実証的解明にあてられたといえよう。売り惜しみ,買い急ぎ,は,いうまでもなく在庫投資行動の介在によって具体化する。本試論は,この種の在庫投資に関する仮説の設定にあてられる。物価分析特集. 第I部. スタグフレーションと市場機能. 第3章