著者
小池 敏夫
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series = 日本古生物学会報告・紀事. 新篇 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.173, pp.366-383, 1994-04-30
参考文献数
39
被引用文献数
5

愛媛県東宇和郡城川町田穂上組に分布する, 田穂石灰岩から産するEllisonia dinodoides (Tatge)を検討したところ, M, Sa, Sb, Scの4つの構成エレメントからなり, それらは2 : 1 : 2 : 6の割合の数で存在することが判明した。しかしSaエレメントがノリアンでは極めて少ないか, 失われるようである。各エレメントは, スミシアンからアニシアンまで大きさが減少するが, アニシアンからノリアンにかけてはほぼ一定の大きさを保つ。エレメントの大きさと歯の数の相関係数は0.09から0.75で, 標本ごとにかなりのばらつきを示す。この相関係数について, 時代的な傾向は認められない。三畳紀において, 個体の大きさが時代とともに減少するのは, 比較的生存期間の長い複歯状コノドントに見られる一般的な傾向である。
著者
Karasawa Hiroaki
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series = 日本古生物学会報告・紀事. 新篇 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.182, pp.413-418, 1996-06-30
被引用文献数
5

The monotypic genus Shako (Crustacea, Stomatopoda) is erected with S. tomidai sp. nov. from the Miocene Ayugawa and Mizunami Groups (Lower Miocene) of Central Japan. This is the second record of the Stomatopoda from Cenozoic deposits of Japan. It appears that S. tomidai preferred a brackish water environment.
著者
天野 和孝 ゲーラト フェルメイ 成田 健
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series = 日本古生物学会報告・紀事. 新篇 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.171, pp.237-248, 1993-09-30
被引用文献数
4

北海道の中新統から産出したアクキガイ科の腹足類, Nucellaの保存の良い標本はN. tokudai (Yokoyama)とN. freycineti saitoi Hatai et Kotakaに同定される。N. tokudaiは中新世前期にカリフォルニアに出現し, 中期中新世初期までに, 西方へ日本およびカムチャッカに分布を広げた。N. freycineti saitoiは中新世中期に日本に出現し, 本亜種から中新世末期または鮮新世前期に現生のN. freycineti (Deshayes)が進化した。初期の地理的分布や初期のすべての種に小歯をともなう厚い外唇が見られることから, Nucella属は北東太平洋の温暖水起源であることが推定される。北米西岸の温暖水に起源をもち, その後東アジアに分散したNucellaの分布の変遷は, 北太平洋の温帯浅海域の他の多くの貝類やフジツボの分布の変遷史に類似している。