著者
加藤 真
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

日本に産する潜葉虫のファウナとその寄生植物がおおむね明らかになった。潜葉虫は鞘翅目でタマムシ科44種、ハムシ科52種、ゾウムシ科53種、オトシブミ科1種、双翅目でクロバネキノコバエ科約20種、ハモグリバエ科282種、ショウジョウバエ科2種、ミギワバエ科34種、ミバエ科23種、フンバエ科5種、ハナバエ科16種、膜翅目ではハバチ科16種、鱗翅目で田スイコバネ響4種、モグリチビガ科79種、マガリガ科11種、ツヤコガ科13種、ムモンハモグリガ科6種、ハマキガ科20種、チビガ科10種、ハモグリガ科19種、ホソガ科242種、コハモグリガ科20種、アトヒゲコガ科5種、スガ科2種、ササベリガ科1種、メムシガ科5種、アカバナガ科1種、クサモグリガ科15種、ツツミノガ科34種、カザリバガ科14種、キバガ科20種、メイガ科5種、シジミチョウ科2種、ヤガ科1種、合計1013種とみつもられた。潜葉虫の羽化を待ち、分類の仕事が進めば、この種数はさらに増えるものと思われる。潜葉虫の寄主植物は、147科605属に及んだ。今年度新たに寄主植物として記緑されたのは、ヒルギ科とタコノキ科であった。潜葉虫は利用されていない植物の科は68科(29,7%)あり、そのうちわけは以下のとおりであった。A.葉が極めて小さいか全くない科(12科)、B.水草(6科)、C.国内の分布が極めて限られる科(38科)、D.その他(12科)である。最後の12科は、キジノオシダ科、フサシダ科、サンショウモ科、ソテツ科、イヌガヤ科、ドクダミ科、ドクウツギ科、ケマンソウ科、ケシ科、カツラ科、フウチョウソウ科、ジンチョウゲ科であり、これらは強い化学防衛によって潜葉虫から解放されたらしい。採集された潜孔葉の標本は、すべてさく葉標本として保管されている。潜葉虫の潜孔様式と寄主範囲について、現在記載をしつつある。植物と寄生植物の共進化の歴史をふまえつつ、これらのぼう大なデータも群集生態学的に解析中である。

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