著者
草野 勝彦
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

知的障害児の体力発達は低い水準にとどまるのが一般的であるが、ある私立養護学校において、高等部3年生の生徒全員がフルマラソンを完走できる水準の体力を身につけている。本研はこの生徒たちの体力の水準を明らかにすること、この生徒たちがどのようなトレーニングを行ったのか、その内容を分析することである。トレーニングの内容は、週6日間、5kmのランニングである。ランニングは個人のペースで走り、仲間との競走も自由な状態となっていた。ランニング中の心拍数は平均150拍/分で、最後の1kmは165〜180拍/分という高水準の負荷となっていた。これに加えて週3回の体育を行っている。体育においては、柔軟性、筋力、平行性の運動が中心となっていた。運動負荷の面からみて特筆すべき強度をもったプログラムではなかったが、きついことや、くるしいことを強要するとパニックを起こして抵抗することが多い障害児に対して指導者の指導上の配慮は大きいものであった。年間にわたって市民、県民レベルで行われる競技会に出場し、次の大会への出場を動機づけにして、練習を行っていた。一般の人の中で上位に入ることが本人の社会参加意欲や自信につながるというサイクルが形成されていた。体力水準の診断テストの結果、筋力、持久力、瞬発力、平衡性、敏捷性、柔軟性の全ての項目において対象の養護学校は他の養護学校より有意に高い水準にあることが明らかとなった。特に、全身持久力においては、一般の高等学校生徒の平均値を上回る水準であった。

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こんな研究ありました:知的障害児の体力トレ-ニングの方法と効果(草野 勝彦) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/08458021

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