- 著者
-
人見 勝人
中島 勝
- 出版者
- 龍谷大学
- 雑誌
- 萌芽的研究
- 巻号頁・発行日
- 1996
“生産(モノ造り)"は、人間生活の基盤、国富の形成、そして世界平和のために欠かせない社会的基本活動と考察し、現今のモノ造り状況が、製品飽和、設備過剰、工業空洞化、工場現場忌諱、資源枯渇、環境破壊などの難点・ジレンマを抱えていることを指摘した。それを克服し、これからのモノ造りの秀麗性を高揚する概念・21世紀へ向けた普遍的生産原理として、“[社会的]マニュファクチャリング・エクセレンス([Social]Manufacturing Excellence)"(生産美学)を定義し、提唱した。マニュファクチャリング・エクセレンスを具象的に遂行する基本的方策として、自動化生産(FA/CIM)、人間尊重生産、高付加価値生産、環境調和(グリーン)生産を論じた。現在の資本主義体制下の企業の過当競争でひきおこされている過剰生産、使い捨て浪費(アメリカ的文化)、そしてまだ使用可能な物品の大量廃棄による天然資源の枯渇、自然環境の汚染、ひいては地球破滅と人類滅亡を防ぐためには、仏教・道教で教える「知足」(吾唯足ルヲ知ル)の精神・原理に基づく、各企業の“社会的適正生産(Socially Appropriate Manufacturing)"の考え方を提起する。つまり、これまでの“大量(過剰)生産・大量消(浪)費・大量廃棄"型から“知足生産・知足消費・極少廃棄"型への企業・個々人、そして国家・世界の変容をうながす。この「社会的適正生産」のあるべき姿としては、最底限の性能を持つ独創性に富む完璧な製品の開発、最長寿命を保証した部品・製品の使用、資源と部品の再利用・リサイクルの考慮と極少廃棄、最底限利益の企画を論議した。