著者
大西 琢朗
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、主に「証明論的意味論」の概念枠組についての批判的検討を行った。証明論的意味論とは、形式的証明体系を形成するシンタクティカルな推論規則から、論理定項にかんする合成的意味論を抽出することを目指す試みである。その意味論的探求は、フレーゲの「文脈原理」と「合成原理」の現代的実現と見ることができる。このような背景のもと、大西は次のような研究を行った。証明論的意味論は、これまで主に、ダメットやプラウィッツといった、構成主義的傾向をもつ論者によって発展させられてきた。そのため、その概念枠組は、直観主義論理に特有の性質が念頭に置かれるなど、明瞭性と一般性にかける面がある。そこで大西は、シークエント算の体系として定式化される、部分構造論理の研究を参照し、従来の証明論的意味論の概念枠組の明瞭化、一般化を試みた。特に注目したのが、「基本論理」という論理体系である。その構築過程で持ち出される意味論的考察と、証明論的意味論の議論を比較することで、証明論的意味論の枠組は、直観主義論理のみに適用可能なものではなく、適当な修正を加えれば、さまざまな論理に適用可能な一般的な枠組になりうることを明らかにした。ただし、その一般的な枠組の詳細な構築は、今後の課題として残った。

言及状況

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こんな研究ありました:フレーゲの論理主義研究―「思想」の観点から―(大西 琢朗) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/08J01337

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