著者
名倉 仁
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

バクテリア由来のNaチャネルであるNaChBacの変異体解析によって、電位センサーに位置するT110にシステインを導入した際に自発的なチャネルの失活が観察されており、この事実はT110C同士の結合が強く示唆されていた。これについて、4つのサブユニットを結合させた変異体の解析によって、T110間の近接は一つのチャネル内部で起こりうる事を示すことが出来た。また、今までの様々な変異体の解析から得られた知見を統合し、これをNaChBac以外のチャネルで見られる現象とも比較しながら実験結果を解釈して、電位依存性イオンチャネルに対する議論を深めることが出来た。まず、4量体型のNaChBac変異体に導入したシステインの影響を解析した結果から、24回膜貫通型のイオンチャネルのサプユニット配置を議論し、これらのチャネルのサブユニットが周回状の配置を取らない可能性を示唆した。また、T110C変異体の電流減衰の挙動を解析した結果から、電位センサーの側方への可動性は、脂質膜の性質変化などの膜電位とは別の機構によって制御されているのではないかという仮説を提起した。電位依存性イオンチャネルの開閉と脂質2重膜の性質との関係は、電位依存性のKチャネルでも報告されており、本研究で見出された電位センサーの側方への動きはこういった性質の基礎となっている可能性を示唆した。本研究の結果は、Biochemical and Biophysical Research Communications (399巻341-346頁)に投稿して発表した。

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こんな研究ありました:電位依存性イオンチャネルの電位センサーの位置の研究(名倉 仁) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/08J01720

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