著者
小野 善康
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1. 2国貨幣経済動学モデルを構築し,各家計が資産として自国通貨と自国・外国の収益資産を選択するという前提で,非飽和的な流動性選好を持つ家計の動学最適化行動を定式化し,その経済動学と定常状態を調べた.その結果,対外資産を多く保有し,生産性の高い豊かな国ほど失業が発生しやすく,貧しい国ほど完全雇用が成立しやすいことを明らかにした.また,失業下では,完全雇用の場合とは異なり,対外資産を多く保有し生産性の高い国ほど失業が深刻になり,かえって消費が減少してしまうことを示した.さらに,流通機構の非効率性が生み出す内外価格差と失業の発生状況,中央銀行による為替介入の効果の有無,2財モデルの場合のマーシャル・ラーナー条件(為替レートと経常収支の関係)の正否など,国際マクロ経済学の諸問題を,動学的最適化を前提とする不況モデルの枠組みで再検討した.これらの結果については、後述の著書にまとめた.2. 実際に,家計が非飽和的な流動性選好を持つことを裏付けるための研究として,小川一夫教授(阪大)および吉田あつし助教授(大阪府大)とともに,各県別の資産と消費量,日経レーダーによる個別家計の資産と消費データを使って,実証研究を行った.その結果,流動性選好の非飽和性を強く裏付ける実証結果が得られた.3. 雇用を生み出す直接投資がある場合の国際経済モデルを構築し,直接投資に対する税制やローカルコンテンツ規制などが受入国に与える影響を調べた.さらに,生産者と販売者が異なり,それらが自国企業と外国企業である場合の,最適関税の性質についても調べた.これらの研究は,S.Lahiri教授(Essex大)とともに行い,研究発表の項の雑誌論文として挙げた,5つの論文としてまとめた.

言及状況

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こんな研究ありました:不況をともなう動学的国際マクロ経済モデルの構築と経済政策の国際的波及(小野 善康) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/09630004

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