著者
福田 正弘
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、個々の子どもに焦点を当て、彼らが形成している日常的社会認知の姿とその発達過程を明らかにすることを目的としている。そのため、4年間の継続調査を実施した。調査対象は、1997年度時点で、第2学年生108名と第3学年生107名である。また、4年間同じ質問表を使用した。質問は、日常生活の様々な文脈で自身の販売するレモネードの価格を決定する12の問、例えば、「サッカーの試合を観るために、多くの人が集まっているとき、あなたはレモネードの値段を上げますか、下げますか?」「運動会に参加するために、多くの子どもが集まっているとき、あなたはレモネードの値段を上げますか、下げますか?」から成っている。本研究の結果は次のようである。1)両児童グループの正反応率は、複雑な文脈よりも単純な文脈における方が高かった。複雑な文脈には、意思決定時に考慮しなければならない複数の条件、例えば、道徳、同情、人物の特徴が含まれている。従って、子どもの日常的社会認知の発達は、文脈を構成している考慮すべき条件に関係している。2)4年間に渡る個々の子どもの反応の変化には、2つのパターンがある。第1は、子どもの反応が年齢とともに、正反応に集中していくパターンである(パターン1)。第2は、子どもの反応が正反応と非正反応の間を行ったり来たりするパターンである(パターン2)。パターン2は、特に複雑な文脈によく見られた。それゆえ、子どもの社会認知の発達経路は、子どもが思考している文脈に関係がある。

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こんな研究ありました:子どもの日常的社会認知の発達に関する時系列縦断的研究(福田 正弘) http://t.co/nNuY8nHPHN

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