著者
増田 有紀
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は,学習者の量に関する認識上の困難点を学習者の立場から特定し,学校数学における量に関する学習指導全体を再構築することである。昨年度と今年度の2年間は,学校数学で学習される量の中でも特に,独自の特性を有する「角の大きさ」に焦点をあて,はじめに,量とその測定に関する指導の順序を示す「測定指導の四段階」と角の概念が有する特徴との関連を精査しながら,小学校から高等学校までの複数の学校段階における角の計量的側面に関する学習の要件を理論的に解明した。次に,その要件の獲得に困難を示す場面を実証的に特定し,そのような困難性を抱える学習者の立場から,角の学習指導全体のあり方を学校段階に応じて総合的に検討した。その結果,以下の二つの研究成果が得られた:1.複数の学校段階にみられる角の学習上の困難点とその背後にある要因を顕在化し,困難点を解消する方法を探究する立場から角の学習指導の改善のための示唆を得る方法を解明したこと,2.角の学習指導に関する実践上の課題を解決するために,上述の方法を適用し,角の学習上の困難点とその要因の解明を通して得られる知見によって,学校数学における角の学習指導の改善の指針を提示したこと。本年度は,上述のような成果に関して,学位論文「角に関する学習上の困難点の特定とその解消の方法-学校数学における角の学習指導の改善に向けて-」を執筆し,平成23年3月25日付けで筑波大学より博士(教育学)の学位を取得すると同時に,第34回数学教育心理学会(PME34),第5回東アジア数学教育国際会議(EARCOME5),日本科学教育学会第34回年会,日本教材学会第22回研究発表大会,日本数学教育学会第43回数学教育論文発表会の学会で発表した。

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こんな研究ありました:数学教育における量の学習過程の顕在化に関する研究-認識上の困難点の解消に向けて-(増田 有紀) http://t.co/hBZgWNnB

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