著者
東條 英昭 山内 啓太郎 内藤 邦彦 小野寺 節
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1.EGFPをマーカーとしたTg胚の選別法について検討した。マウス受精卵前核にCMV/β-actin/EGFP遺伝子を顕微鏡注入し、体外培養後、桑実胚ないし胚盤胞期に蛍光顕微鏡で観察が、偽妊娠マウスへ移植した。生まれたマウスのDNA解析の結果、胚全体で蛍光を発する胚の移植から、76.9%、モザイク様蛍光胚の移植から21.6%のTgマウスが得らた。2、CAG/EGFP遺伝子にWAP/hGH遺伝子を連結した連結遺伝子を受精卵前核に顕微鏡注入し、同様な方法でTg胚を選別した後、仮親に移植した。生まれたマウスのDNAおよび緑色蛍光を調べた結果、生まれたマウスのうち約82%がTgマウスであった。また、血液ならびに乳汁中のhGHを測定したところ、それぞれ、hGHが検出され、EGFPを発現しているマウスの全てで、hGH遺伝子が発現していた。3、Cre/loxp系を利用した遺伝子導入が試みられているが、この系を利用する場合には、creを発現するトラスジェニック(Tg)動物とloxp遺伝子を導入したTg動物の2系統のTg動物の作出が必要であり、家畜に利用するには難点がある。最近、酵母や細菌で見い出されたloxpと相同な配列を持つ偽(ψ)loxp部位がマウスのゲノムム内にも発見された。このcre/ψloxp系を利用し培養細胞系で外来遺伝子のsite-specificで高率な導入の結果が得られている。本年度は、このcre/ψloxp系を利用したTgマウスの作出を試みた。まず、受精卵の前核内でcre/ψloxp系が作用するかどうかを調べるために、CMV/loxp/stuffer/loxp/lacZプラスミドとcre酵素を共に前核に顕微鏡注入した結果、laczの発現が観察された。つぎに、cre酵素に変えてCAG/creプラスミドを共注入し、胚を借親に移植した結果、胎児ならびに新生小マウスの25%でTgマウスが得られた。以上、本研究で得られた成果は、Tg家畜を作出する上で極めて有効な手段として利用できることが示された。

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医療用形質転換家畜の作出に関する開発研究 Studies on development of transgenic animals for use the in medical science. 1998年度~2000年度 https://t.co/MM3Cv3X3kB

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