- 著者
-
平田 結喜緒
七里 眞義
- 出版者
- 東京医科歯科大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1998
糖質ステロイド(GC)や非ステロイド性消炎剤(NSAID)は炎症や免疫を抑制する薬剤として広く臨床的に用いられている。しかしGCやNSAIDの作用機序については不明な点が多く、血管での誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現に対する効果も未知である。そこで培養ラット血管平滑筋細胞(VSMC)を用いて炎症性サイトカイン(IL-1,TNF-α)によるiNOS発現とNO生成に及ぼすGCとNSAIDの作用を分子レベルで解析した。デキタメタゾン(DEX)とNSAID(アスピリン、サルチル酸)はいずれもIL-1やTNF-αによるNO生成を著明に抑制した。DEXはサイトカインによるiNOS遺伝子の発現を抑制し、この作用はIkBのリン酸化と分解を抑制する結果、NF-kBの活性化を阻止することによることが明らかとなった。一方アスピリンやサルチル酸はNF-kBの活性化やiNOS遺伝子の発現には影響を与えなかったが、iNOS蛋白の発現を抑制した。またアスピリンは直接iNOSの酵素活性を抑制したが、DEXやサルチル酸は無効であった。したがって血管平滑筋では炎症性サイトカインによるNO生成に対してGCとNSAIDの抑制機序の作用点が異なっており、GCはiNOSの転写レベルで、NSAIDは翻訳あるいは翻訳後レベルで阻害していることが明らかとなった。これらの成績は敗血症性ショックや動脈硬化性血管病変における炎症性メディエーターとしてのiNOS由来NOの治療戦略を考える上で重要である。