著者
大津 透
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

講談社の『日本の歴史』シリーズのなかで、第6巻「道長と宮廷社会」を執筆して、日本の古代国家の形成のなかで、東アジア世界で中国文明を吸収して文明化をとげたが、その到達点が10-11世紀の藤原道長に代表される摂関政治にあることを解明し、江戸時代まで続く宮廷社会の成立の歴史的意味を考えた。律令制が変質して、律令国家の第二段階となるだけでなく、白氏文集に代表される漢文学の流行、作文など漢詩の作成をうけて『源氏物語』『枕草子』などの王朝文学が花開き、藤原行成など三跡が和様書道を完成させ、藤原公任が『和漢朗詠集』を編み、漢詩と和歌のアンソロジイを作り、日本の古典的な美意識を規定した。日本における古典とは、一義的には中国における儒教の経典であるが、それが律令国家の展開の中で日本で吸収定着するなかで、この時代に日本にも古典と呼びうる独自な作品や美が生まれたのである。また編集も兼ねる第8巻では天皇制についての多角的な議論を行っている。調査としては、中国寧波の天一閣で発見された北宋天聖令の田令・賦役令の比較研究を進め、具体的な唐令の復原作業を進めている。また龍谷大学所蔵の大谷探検隊が西域より将来した大谷文書のうち、唐西州の退田文書、欠田文書、給田文書からなる均田制関係文書群について、副葬時に四神に青龍の形をなして七枚以上張りあわされていたことを解明し、多くの断簡接続を発見した。大谷文書の整理に貢献しているだけでなく、唐律令制の土地・民衆支配が解明され、日本の田令の特質も明らかになるであろう。

言及状況

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こんな研究ありました:日本における唐律令・礼の継受と展開(大津 透) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/11164222

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