著者
田仲 和宏
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

Ewimg肉腫(ES)とその類縁腫瘍PNETは、悪性骨軟部腫瘍の中で最も予後不良の腫瘍であるが、その90%以上に染色体転座t(11:22)がみられ、その転座の結果、異常な融合遺伝子EWS-Fli1が生じる。EWS-Fli1は強力な転写因子として働き、正常線維芽細胞をtransformする活性を有するため、ES/PNETのがん化の原因そのものと考えられている。これまでに我々は、アンチセンスオリゴを用いてEWS-Fli1の発現を抑制することで、ES/PNET細胞の増殖が抑制され、その際細胞は細胞周期のG1期に停止することを明らかにした。そこで、アンチセンスオリゴ処理前後のES/PNET細胞よりmRNAおよび蛋白質を抽出し、細胞周期関連因子の発現変化を調べると、G1-S期移行に関わるCyclin D1、Cyclin E、p21およびp27の発現が大きく変化しており、アンチセンスオリゴによる増殖抑制の原因の一つと考えられた。このうちp21遺伝子のプロモーター領域をluciferaseにつないだreporter constructを作成し、ES/PNET細胞にこのreporter constructを導入したところ、reporter遺伝子活性は抑制されていた。ここでアンチセンスオリゴ処理を行うとreporter遺伝子活性が誘導された。また、プロモーター領域内でのEWS-Fli1の結合部位を検索した結果、EWS-Fli1は直接p21プロモーターに結合し、その活性を抑制した。p21発現を誘導する薬剤Na Butylateを作用させると、ES/PNET細胞でのp21発現が濃度依存性に誘導され、細胞の増殖も抑制された。従って、p21はEWS-Fli1の直接の標的遺伝子であり、ES/PNETの増殖に大きく関与していること、ES/PNETの遺伝子治療のターゲットとして有用である可能性が示された。

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