著者
三船 恒裕
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度は昨年度に引き続き、外集団への攻撃性が生じうるかを検討する実験を行った。昨年度はコスト祖を支払った攻撃性を測定する経済ゲームとして新たに先制攻撃ゲームを開発したが、そもそもの攻撃率が低いという問題があった。そこで今年度はまず、ゲームの内容を改善し、さらにゲームでの攻撃行動が防衛のための攻撃であることを示すための実験を行った。具体的には以下の通りである。参加者は二人一組で1500円を元手としてゲームを行い、一方が攻撃のボタンを押すとボタンを押したほうが100円を支払い、押されたほうは1000円を失うこととなった。両者がボタンを押しても結果は早押しで決まり、後から押した場合は自分・相手に対して何の影響もなかった。実験では二人一組の双方がボタンを押せる双方向条件と、一方だけがボタンを押す権利があり、もう一方はボタンを押せない一方向条件を参加者間で配置した。先制攻撃ゲームにおけるボタン押し行動が「相手がボタンを押すかもしれない」という恐怖に基づくものであれば一方向条件ではボタンを押し行動が生じないと予測されるが、実験の結果はこの予測を支持した。双方向条件での攻撃率は50%であったが、一方向条件では4%であった。双方向条件においてかなりの攻撃率が観察されたため、次の実験ではこの攻撃率が内集団相手と外集団相手で異なるのかを確かめる実験を行った。132人を実験参加者とし、最小条件集団を用いて相手の所属集団を操作した結果、攻撃率は相手が内集団の場合は約29%、外集団の場合は約32%であり、統計的な有意差は見られなかった。つまり、昨年度実施したゲームを改良し、攻撃率が高まるようにしても、昨年度の結果と同様に外集団に対して特に攻撃的になるという現象は観察されなかった。これは「ヒトには外集団に対する攻撃性が身についている」と主張する共進化モデルの予測とは明確に反する結果である。

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