著者
山尾 僚
出版者
佐賀大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

植物は植食者に対して、毛などによる物理的防御や化学物質を含有することによる化学的防御、植食者の天敵を誘引し、植食者を排除させる生物的防御といった多様な防御戦略を進化させてきた。さらに、被食に対する耐性もまた防御戦略の一つとして知られている。本研究では物理的防御形質であるトリコーム、化学的防御形質である腺点および生物的防御形質である花外蜜腺と食物体を備えるアカメガシワ属を材料とし、複数の防御形質を用いた植物の防御戦略を解析する事を目的としている。本年度は、以下の3点を明らかにすることができた。1)前年度に、岡山、沖縄、石垣島のアカメガシワ個体群はそれぞれ異なる防御形質を発達させていることを明らかにした。本年度は新たに奄美大島のアカメガシワ個体群がアリによる生物的防御を発達させていることを解明した。2)岡山、奄美大島、沖縄、石垣島のアカメガシワ実生を用いて被食に対する耐性能力を評価した。その結果耐性能力の大きさは、沖縄株奄美株・石垣株、岡山株の順に高かった。3)被食処理後の光合成速度の時間的変化を調べたところ、'岡山株では光合成能力に大きな変化は確認できなかったが、奄美大島、沖縄、石垣島由来の株では被食処理後に光合成能力が増大した。また、光合成能力の増大の程度は耐性能力と相関していることが判明した。これまでの結果から、アカメガシワの耐性能力は被食後の光合成能力の増大によりもたらされていると考えられた。岡山個体群では主としてアリによる生物的防御を、奄美個体群では生物的防御と耐性、沖縄個体群では物理、化学的防御と耐性、石垣個体群では化学的防御と耐性を発達させていることを解明した。

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こんな研究ありました:アカメガシワ属における対被食戦略(山尾 僚) http://t.co/VTubElxkzC
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