著者
朴 培根
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

大韓民国政府は日本による韓国併合の法的効力を認めず、大韓帝国と大韓民国との間では法的断絶のない継続性があるという見解を持っている。「大韓民国が締結した多数国間条約の効力確認」に関する韓国外務部の説明資料によれば、大韓民国は大韓帝国と同一の国際法主体として、同じ国家の内部で国体、政体および国号が変更した場合であるという。また、韓国の制憲憲法はその前文において大韓民国が1919年に樹立したという。韓国政府のこのような見解は、1919年以来韓国には国家の要素としての実効的政府が存在したことを前提にしているように思われる。その「政府」とは、中国上海でできた「臨時政府」にほかならない。しかし、臨時政府の成立の経緯、統治の実体、国際社会からの承認及び外交関係の実績等の点に照らしてみれば、それが国家の要素たる実効的政府であったかに関しては疑問が残る。その論理的帰結は、大韓帝国は国家として消滅し、旧大韓帝国の領土は日本の領土になり、その国民は日本国民になったこと、そして大韓民国は日本から独立した新生国ということになるだろう。にもかかわらず、韓国は大韓帝国と大韓民国とは法的に同一であるという態度を堅持しているし、国際社会においても条約の承継と関連して両者を法的には同一のものとして扱う事例も見られる。近年のバルト3国の例でみるように、50年以上も他国の一部として併合されたと思われてきた国家も、国際社会によっていわゆる「復活した国家」として認められる場合もある。大韓帝国と大韓民国の国家的同一性を認めることが、国際社会の法的安定性を著しく害することなく、韓国の民族的・国民的名誉と自尊心を回復させ、外国による支配がもたらした不当な結果を是正する道と認められる場合には、韓国にも「復活した国家」としての地位が与えられる余地はあると思われる。

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