著者
福田 雅章
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、「事実上の死刑廃止国(州)」(DE FACTO ABOLITI0NIST COUNTORY/STATE)、すなわち刑法典上は死刑を存置している(いた)が現実には死刑を執行していない(いなかった)国(州)のそこに至るプロセスを探り、わが国の死刑執行停止(モラトリアム)へ向けての理論的・政策的提言を行うことにあった。上記目的を達成するため、調査研究を行い、次のような成果を得た。1.海外共同研究者であるRoger Hoodオックスフォード大学教授およびPeter Hodgkinsonウェストミンスター大学教授と調査票を作成し、関係諸国に送信し、回答を得た(成果報告書付録1、2)。事実上の死刑廃止は、実際には凶悪犯罪が発生しないために裁判所で死刑判決が下されないか、または立法府の決議によってもたらされており、わが国の状況に直接参考になるようなものではないことが判明した。2.ヨーロッパおよび東欧諸国の死刑廃止へ向けての動向は、国連のモラトリアム運動を踏まえて、上記Peter Hodgkinson教授と共同研究を行い、その成果を研究報告書に収録した。3.アメリカにおいては、1990年代半ば以降存続派と廃止派が共にモラトリアムへ向けて動いていたが、2000年1月31日にはイリノイ州知事が「今後すべての死刑執行命令書に署名しない」という行政権によるモラトリアムをはじめて実践し、「死刑存続or死刑廃止」というかつての対立構造に代えてモラトリアム運動が隆盛を極めている。このプロセスはわが国の状況に直接参考になるため、モラトリアム運動関係者への訪問インタビューおよび文献によって、論文「アメリカにおけるモラトリアム運動」を執筆し、成果報告書に収めた。4.上記成果を踏まえて、わが国との関連で、「死刑執行停止へ向けての提言」および「わが国の社会文化構造と死刑」の2論文を作成し、成果報告書に収めた。5.上記2、3および4の4論文は、1の具体的なデータ分析および「イギリスにおける死刑廃止のプロセス」を補充して、順次4月以降山梨学院大学法学論集に掲載し、一冊の書物にまとめる予定である。

言及状況

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こんな研究ありました:事実上の死刑廃止へ向けてプロセスの研究(福田 雅章) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/12620069

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