著者
松尾 七重
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は,図形の概念形成を促進する学習指導の方法を確立することである。本研究では,図形の概念形成を促進する学習指導の方法を明らかにするために、既に理論的に抽出されている理解の状態向上を促す要因を考慮して授業を実施することにより、その要因の妥当性及び実行可能性を検証した。その結果に基づいて、小学校2年生、5年生及び中学校2年生における学習指導の方法を以下のように示した。小学校2年生においては、長方形を定義した後に,正方形以外の長方形をひし形や長方形以外の平行四辺形と比較する活動を行うことで,長方形の角が直角であることに気づくようにすること、紙を折って長方形をつくる活動や,三角定規を用いて長方形をかいたり,直角であることを確認したりする活動を行い,長方形の4つの角が直角であるという関係を理解できるようにすることが示された。小学校5年生においては、図形の面積を求める際に,その図形の概念の性質に着目できるようにすること,平行四辺形,ひし形や正方形の面積を求める際に既習図形の求積に関連づけることを促し,図形の概念及びそれらの関係を活用して求める方法を確認することが示された。中学校2年生においては,図形の概念の定義を的確に捉えていることにより,図形の概念間の包摂関係を理解できるようになり,概念形成が促進されるということから,概念形成を促進させるための定義の学習指導のあり方を考えることが重要であることが明らかになった。具体的には、定義の学習指導において否定的な表現をなくすようにすること、否定的な表現が含まれない理由について話し合うことという方法が示された。

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