著者
遠藤 辰雄 高橋 庸哉
出版者
鳥取環境大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

この研究目的と同じ内容の北極圏スバルバールのニーオルセン(北緯79度東経12度)で行った観測結果が未解析で残っていたので、その解析を詳細に進め、その結果から標題の目的の研究を行うことにした。この期間は1998年12月16日から1999年1月9日までの間であり、この地方は完全な極夜であり、大気化学的条件としては、光化学反応は考慮する必要がないという興味ある環境であった。また、この時期はこの地方では比較的降雪が見られ、この時期を過ぎると全く降雪がないとされている。その降雪も量が少なくかつかなりの強風であるといわれていたのであるが、この年は大雪に恵まれ、しかも余り強風でない状態続いた。解析によって得られた知見は以下の通りである。(1)降雪試料に含まれている化学成分はかなり低濃度ではあるが、これまでの観測結果の傾向が再確認された。それは、雲粒付の雪結晶と雲粒の全く付かない雪結晶雄である雪片は硫酸塩と硝酸塩を夫々卓越して含んでいた。(2)雲粒の付かない雪片だけが観測された時間に環境大気の硝酸塩はエアロゾルの粗大粒子よりは微粒子の方で枯渇した状態が発見された。(3)また雲粒無しの雪結晶が降る時の降雪試料にかなりの高濃度の硝酸塩が検出され、それと同時に同じ濃度の水素イオンが測定された。このことから、雲粒の付かない雪結晶の表面では硝酸ガスそのものを物理吸着の形でとりこんでいるものと考察される。(4)3日間に亘る長時間の連続する降雪の途中から硝酸塩が枯渇するする現象が発見された。これも光化学反応が起こらないためであると考えられる。以上のことを総合的に考察すると硝酸塩もまた長距離輸送される大気汚染物質であると考えることが出来る。

言及状況

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こんな研究ありました:酸性雪の雲内における硝酸塩の取りこみ機構の解明(遠藤 辰雄) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/14580545

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