著者
濱中 新吾 高岡 豊 山尾 大
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度は山尾大を中心にイラク南部(中央政府支配地域)の世論調査を行った。バクダード大学に協力を求めて個別訪問による質問紙調査を行い、イラク政府および各政党や主要政治家への支持態度、公共政策の評価、諸外国による政治介入の影響、過激思想を含む政治イデオロギーや思想潮流に対する共感の程度、越境移動の経験や希望などを政治的態度、社会的志向性の情報を聴取した。バクダード大学との折衝は山尾が責任をもって行った。平成29年度のイラク調査は前回(平成23 年)のフォローアップの意味合いを持つ。前回の調査結果との比較によってイラク国民世論の変化や政権支持および政党支持態度の変容状況を定量的に分析することが可能になった。イラクも2003 年の戦争後、治安が維持できず不安定な民主主義体制の下で統治が行われている。現状の急激な変革を求める過激な組織「イラクとシャームのイスラーム国」が勢力を拡大し、2014年には「イスラーム国」と改名してシリア及びイラク国内に支配領域を確立したが、2017年以降その勢力は衰退した。それゆえイラクもイスラーム主義政治思想の調査対象地として適している。政治思想の拡散状況については髙岡(研究分担者)が中心に研究を実施し、浜中と共同で思想分布・拡散状況の計量分析を行って成果を国内学会や研究会等で報告する。研究成果については前年度の国際会議報告ペーパー等が国際査読誌にアクセプトされ、出版されている。また邦語による研究書の出版も行われた。年度途中ながら、研究成果の公表は十分行われているものと考えられる。

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