著者
坂口 貴弘
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

文書館等のアーカイブズ施設において近現代の公文書や個人・団体の資料を閲覧に供する際は、資料中に個人情報や企業情報、治安・防衛等に関する情報(以下「秘密情報」と総称する)が含まれているかを点検し、場合によっては公開を一定期間制限する必要がある。この作業は複雑かつ多大な労力を要し、特に小規模施設における資料公開を著しく阻害している。本研究では、諸外国のアーカイブズにおける秘密情報保護と公開促進の両立をめぐる歴史的経緯とその背景を検証するとともに、国内外の各種アーカイブズ施設の実地調査に基づき、近現代資料の受け入れから公開に至る方法論の適正化と標準化を図る。これまでの研究から、本テーマは単に文書館における保護・公開制度の現状を分析するだけでは不十分であり、記録管理及びアーカイブズのシステム全体を包括する視点から、通時的かつ領域横断的に考察する必要があることが判明した。そこで本年度は、第二次世界大戦後のアメリカ合衆国における重要記録保護プログラム(vital records program)の普及に大きな役割を果たした全米記録管理評議会(National Records Management Council(NAREMCO))の活動について分析した。米国国立公文書館及び議会図書館等が所蔵する一次資料に基づき、NAREMCOが同プログラムの意義と役割をどのように説いていたかについて、その時代背景を踏まえつつ考察を進めた。その成果は、次年度に口頭発表および論文の形で公表する予定である。

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