著者
菊池 誠
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度の研究成果は以下の3点である。(1)ファネル気体モデルの理論的整備を進めた。タンパク質の体積を変数とする自由エネルギーランドスケープが与えられれば、分配関数に含まれる分子混雑の効果は解析的に計算できてしまい、自由エネルギーランドスケープへの補正の形に厳密にまとめられる。補正項は各状態の体積に比例しており、比例係数は混雑分子の化学ポテンシャルで決まる。これにより、混雑分子を含む系は混雑分子を含まない系に形式的に書き直すことができることがわかり、見通しよく計算機シミュレーションを行うことができる。(2)上記の「有効自由エネルギーランドスケーブ」の考え方をモデルタンパク質に応用した。具体的にはアップダウン・ベータバレルと4ヘリックス・バンドル構造を取るふたつの格子タンパク質モデルを対象とし、MSOE法によって混雑分子がない場合の自由エネルギーランドスケーブを求めた。これに上記の体積依存補正を加えることにより、混雑分子存在下での「有効自由エネルギーランドスケーブ」を求めた。結果として、混雑分子の濃度が上がるにつれて変性状態のうちで体積が大きな構造の自由エネルギーが上がり、実効的に天然構造が安定化されることがわかった。我々はこの結果を分子混雑がタンパク質折れたたみに与える影響の最も簡単な表現であると考えている。(3)ファネル気体モデルの基礎となるタンパク質のファネル理論に関して、ランダムネットワーク上でのランダムエネルギーモデルを構築し、多様なファネル構造を実現する天然構造の特徴を議論した。なお、これら成果をConference on Conputational PhysicsおよびBiophysical Society Meetingにて口頭発表し、関連する研究者と議論を行った。

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https://t.co/AwyrOPlZK3 計画額 2016年度:1300千円 (直接経費:1000千円, 間接経費:300千円) 2017年度:1300千円 (直接経費:1000千円, 間接経費:300千円)

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