著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011-05-05
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
菊池 誠
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.824-825, 1993-10-05
著者
菊池 誠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.874-881, 2013-03-01 (Released:2013-03-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

科学基礎論学会はわが国の指導的な科学者や哲学者によって1954年に設立された数学や心理学,工学を含む広い意味での科学の基礎や哲学について論じる学会であり,1954年から和文誌を,1956年から欧文誌を刊行している。本稿ではまず科学基礎論学会の欧文誌刊行の現状を例に,わが国において人文社会系の研究分野で欧文誌を刊行することの意義と難しさについて論じる。次に,学術誌の標準的な評価基準となっている被引用数と採択率を改善するための方法を紹介し,このような数値的指標によって学術誌を評価することの問題点について論じる。最後に,学術誌と学会の役割の多様性と,それらの協力の重要性について論じる。
著者
菊池 誠
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.104-108, 2002-06-15
被引用文献数
6

As an introduction to the special topics section of traffic flow problem, a brief history of mathematical researches in this area is described. Some basic concepts, such as a q-k diagram, are introduced at the same time.
著者
菊池 誠
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.458-463, 2013-11-01

研究者にとって学術情報流通は研究成果の評価および研究活動の推進という観点から重要な役割を持つ。かつて,我が国の研究者には欧米の中心地から遠く離れて情報から孤立することによって様々な不利益を受けていたが,情報通信技術の発達と国際的な人的交流の活発化は,この学術情報流通の状況と我が国の研究環境を大きく変えている。しかし同時にその変化は学問の過度の均質化や競争,そして専門分野の孤立といった問題を生じさせる危険もある。本稿では数学と哲学における研究者にとっての学術情報流通の現状とその変革の可能性について論じる。
著者
肥後 順一 高野 光則 菊池 誠
巻号頁・発行日
2009-07-23 (Released:2009-04-01)

天然変性蛋白質の「折れたたみとカップルした結合」の機構を、計算機実験によって解明した。計算対象(天然変性蛋白質とパートナー分子、およびそれを取り囲む多数の溶媒分子)を全原子モデルで表現し、効率的構造探索法であるマルチカノニカル分子動力学を行った。それにより、折れたたみとカップルした結合過程の詳細な自由エネルギー地形を可視化した。実験的に決定された複合体構造以外にも、短い寿命の多様な複合体構造の存在を示した。得られた自由エネルギー地形をより大きな観点から理解するために、粗視化モデルでのサンプリングを行った。複数の準安定な複合体の間の構造遷移を、競合性と協調性の概念から表現した。
著者
菊池 誠一
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.767, pp.66-77, 2004-09-01
著者
菊池誠
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.99, 2007-09-28

1920年に発明された最古の電子楽器テルミンは,「本体に触らすに演奏する」というその特異な演奏方法で有名です.一時期ほとんど忘れ去られていた楽器でしたが,世界的には映画「テルミン」をきっかけに,また国内では竹内正実氏の活動によりリバイバルし,今や,学研「大人の科学マガジン」付録にも小型テルミンが登場するほど広く認知されていますその「触らない」インターフェースは,鍵盤や弦がないために,他の楽器とは比べものにならないほどの演奏の自由度を実現しますが,その-万 距離で音程が決まってしまうことから 演奏者の身体の揺れまでが音程に影響するという極めて不自由なものでもあります.この講演では,テルミンという楽器の「自由度と不自由度」の問題を中心こ,テルミンそのものの紹介も含めてお話しします.
著者
菊池 誠
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.220-224, 2006

シンポジウムではニセ科学の中でも物理学者にかかわりの深いものや物理学者の注意を喚起しておきたい問題について概観した。物理学者に限らず,科学者であればニセ科学問題に注意を払うべきであるし,ニセ科学に対して積極的に発言していくのが望ましいと思うが,いかんせん問題の存在自体に気づいていない物理学者も多い現状では,まずは問題提起をしようという趣旨である。以下,シンポジウムで話した内容をまとめる。なお,筆者のウェブサイトでもニセ科学関連の議論を行っているので,興味のあるかたは覗いてみていただきたい。
著者
菊池 誠
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

天然変性タンパク質であるαシヌクレインはパーキンソン病の関連タンパク質として知られており、αシヌクレインで作られたアミロイド繊維はパーキンソン病の病態のひとつであるレビー小体の構成要素となっている。いっぽう、αシヌクレインが生理条件下で安定な4量体を作る可能性が実験的に指摘され、アミロイド繊維形成を阻害する可能性があるとして注目されているが、現時点では4量体の存在自体が決着していない問題となっている。我々はこのαシヌクレインの繊維形成メカニズムを明らかにするために、ファネル気体モデルを構築した。このモデルではαシヌクレイン粒子は複数の内部状態を持つ。単体では天然変性を反映した大きな粒子であり、特定の構造を取らないことを反映して余分の内部エントロピーを持つ。それがアミロイドを形成しうるβヘアピン状態と4量体を形成しうるαヘリックス状態に状態変化できる。我々は二次元格子上にαシヌクレイン粒子と「分子混み合い」を表現するための詰め物粒子を多数置いて、その熱平衡状態を調べた。明らかになったのは以下のことである。(1)詰め物粒子の効果はαシヌクレイン粒子の内部エントロピーに繰り込むことができ、詰め物分子を露に考慮したモデルと詰め物分子を消去してその分だけ有効内部エントロピーを低くしたモデルとは数学的に等価である(2)αシヌクレインの繊維形成はαシヌクレインと混み合い分子いずれの濃度を上げても促進される(3)4量体が観測されるかどうかは混み合いの程度によって変わる。この研究結果は既に論文としてまとめ、Journal of Chemical Physicsに掲載された。