著者
松井 久実
出版者
麻布大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、表皮の色素細胞に高濃度のカロテノイドを蓄積するイモリを用いて、彼らの蓄積能力と餌資源中のカロテノイドとの関係について解析するものである。1)イモリのカロテノイド蓄積能力について変態後3年を経過したイモリ幼体40匹を4群に分け、アスタキサンチン、B-カロテン、ルテインのスタンダードを2ヶ月間に渡り計20mgを強制経口投与し、実験終了後各組織を採材、冷凍保存した。この投与条件では皮膚の赤色化は認められなかった。HPLCを用いて、特にカロテノイドが含まれる腹側皮膚と肝臓についてカロテノイド組成と量を解析したところ、アスタキサンチン投与群の腹側皮膚からは高いアスタキサンチンピークと低いエキネノンピーク、肝臓からは低いアスタキサンチンピークと高いエキネノンピークが検出された。この結果に個体差は見られず、かねてより報告されているカロテノイドの組織特異性が改めて示唆された。腹側皮膚のカロテノイド量には個体差が見られた。2)餌資源中のカロテノイドについてイモリ幼体が餌としているのは、土壌中の中型土壌動物と呼ばれる一連の動物群である。その中でもイモリはトビムシやダニを摂食している。ツルグレン法で抽出した土壌動物サンプルのHPLCを行ったところ、明瞭なカロテノイドピークは確認できず、MSの併用かサンプル量の増量の必要があると考えられた。

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