著者
石井 康夫
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.19-30, 2007

It is recognized that ancient masks of Japan used for playing Noh were endowed with various facial expressions, meaning that manifold faces with agony, sadness, calmness, indignation, or pleasure are immanent in one mask. As for performing arts played in the Medieval Period of Japan, it is supposed that they were separated from Shinto rituals and independently developed during this era. People who engaged in those performing arts belonged to the class of humble people. Performing includes implication of purifying "impurity" which existed in birth and death, blood and decay, plague, or poverty, all of which are associated with everything of human life. Those humble people as performing artists wore clothes of monks as a lower religious order, meaning that they were not ordinary people who were never able to purify impurity. Purification was also involved in the activity of shamanism, including traditional Japanese dance. The dancers of shamanism attained a state of trance which expressed the words of Gods, which led to the primitive style of playing Noh. In the Medieval Period, as agricultural techniques developed, the level of people's lifestyle improved. A new type of Buddhism which parted from that belonging to the aristocracy spread into the people's spirit, encouraging people's economic and political power. In the Muromachi era, art theory was sophisticated through Japanese songs, tea-party, and pictures, particularly Indian-ink drawings. Yugen (subtletly), the philosophical idea of expression, was applied to arts, which became the core art theory of this era. This art theory was affected by another branch of Buddhism, that is, Zen. The charm of refined simplicity was promoted by religious meditation that was the essence of Zen thought. Particularly the Indian-ink drawings were art works reflecting the quiet precinct of poetical sentiment and philosophical meditation. While Kanami and Zeami established the foundation of Noh, the masks were mutually affected by other ancient masks which had been used in divine, religious rituals in local areas. The artistry of ancient masks implies the incantatory divinity which was related to the subtle profundity of the art spirit of this era. Consequently, the performing arts were supported by religious incantation which yielded the fundamental creativity of the Medieval Period.
著者
太田 光明 江口 祐輔 大木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.183-192, 2006

地震が起こる数日前から地震発生地域を中心に動物の異常行動が見られることがある。この行動を前兆行動と呼び,1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震を始めとする大地震では,「地震の前夜,鳥が一晩中鳴いていた」,「ネズミがいなくなった」,「地震数日前よりいなくなっていた猫が地震後に帰ってきた」など多数報告されている。特に犬において,地震前に見られる行動を挙げてみると,「普段吠えることのない犬が吠え続ける(遠吠えする)」,「飼い主を突然咬む」,「餌を食べなくなる」,「体を震わせ怯える」,「しきりに外へ出たがる」など様々である。前兆行動が起こる原因としては,電磁波電場,帯電エアロゾル噴出,地震発光などの地震前兆現象によるためであり,どの現象が原因であってもそれぞれの現象に曝露されることが,動物にとってストレスとなり異常な行動で表わされると考えられる。つまり,前兆行動は動物が物理的な地震前兆現象を感じ取って起こす行動である。しかし,全ての動物が地震を感知し,前兆行動を示す訳ではない。兵庫県南部地震では犬の前兆行動が調査個体の約20%に見られたが,この犬たちは他の犬たちと比較したとき,ストレス感受あるいは行動発現に関する何かに違いが見られると考えられる。そこで本研究は,地震感知できる犬とできない犬との違いが,ストレス反応の最上位ホルモンであるCRHに見られる可能性があると考え,CRH遺伝子多型の存在を検証することを目的とした。しかし,33犬種37頭を解析した結果CRH遺伝子多型は検出されなかった。地震感知遺伝子を持つ犬を発見するためには,地震を感知できる犬が持つ特異性の発見が必要である。よって今後はCRH遺伝子以外にもグルココルチコイドを始めとするストレス因子での遺伝子学的解析を行なうことが有効である。
著者
福永 航也
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2011

薬物治療中は他の薬物や食物の相互作用について考慮する必要がある。ヒトでは、併用薬、食餌、病態、経口投与補助剤、サプリメントなど様々な因子により薬物の体内動態が変化することが報告され、これらの情報をもとに適正な薬物治療が行われている。しかし、獣医療では、薬物相互作用を引き起こす因子に関する知見が非常に少ない。薬物相互作用により血中濃度が予測より増加あるいは減少することで、薬物の効果を過小評価したり、副作用を過大評価したりしてしまうケースがある。例えば、ゾニサミドはイヌのてんかん発作に対し有効性が高いことが前臨床試験において判明していたが、実際の獣医療ではてんかん発作を抑制しないというのが獣医師の見解であった。この矛盾は、獣医療でのてんかん発作に対する第一選択薬であるフェノバルビタールが薬物代謝酵素を誘導し、ゾニサミドがその誘導した酵素で分解されるという薬物相互作用が原因であることを本論文の第1章で明らかにした。 薬物相互作用を引き起こす因子は獣医療特有のものも多く、ヒトの情報が転用できない場合が非常に多い。ヒトのてんかんに対し広く用いられているバルプロ酸やカルバマゼピンは、イヌでは代謝が著しく速いため、1日に4-5回投与しなければ有効血中濃度を維持できない。そのため、イヌのてんかんにはフェノバルビタールが第一選択として用いられている。このことが、前述のイヌ特有の薬物相互作用を引き起こした。また、イヌはヒトとは異なり、毎日同じドッグフードを摂取する。ドッグフードの成分が薬物と相互作用を引き起こす場合、その作用は継続するため、イヌ特有の薬物-食餌相互作用が惹起される可能性が非常に高い。 本論文では、獣医臨床上イヌで薬物相互作用を惹起する因子を薬物動態学的観点から明らかにすることで、獣医療における適正な薬物使用法確立の礎を構築した。第1章 薬物-薬物相互作用:フェノバルビタールが抗てんかん薬ゾニサミドの薬物動態におよぼす影響とその持続期間 フェノバルビタールはイヌのてんかんに対し第一選択薬として用いられている。しかし、副作用などにより減量あるいは退薬すべき時には、ゾニサミドと併用あるいはゾニサミド単独投与に変更することが多い。本章では、これら2薬の相互作用の可能性について追究した。フェノバルビタール反復投与中にゾニサミドを経口投与すると、ゾニサミドの最高血中濃度および半減期はフェノバルビタール非投与に比べ減少した。この作用は、フェノバルビタール断薬後も10週間持続した。また、チトクロームP450(CYP)活性の指標となるアンチピリンの代謝は断薬後4週まで促進されていた。本結果より、フェノバルビタール反復投与時および断薬後10週間はゾニサミドの代謝が促進されることでその血中濃度が減少し、少なくとも断薬後4週間はCYP誘導が血中濃度減少のメカニズムとして関与していることが示唆された。第2章 薬物-食餌相互作用:尿pHコントロール食が抗てんかん薬フェノバルビタールの薬物動態におよぼす影響 イヌでは、尿石症の治療・予防に尿を酸性化する食餌やアルカリ化する食餌を用いる。また、これらの尿石症は抗てんかん薬投与時により多く誘発される可能性が示唆されている。本章では、尿pHコントロール食と抗てんかん薬フェノバルビタールの相互作用の可能性について追究した。尿をアルカリ化または酸性化する食餌を与え、フェノバルビタールを単回経口投与すると、フェノバルビタールの血中半減期は、尿をアルカリ化する食餌で短くなり、酸性化する食餌で長くなった。また、フェノバルビタールの尿中排泄率は、尿のアルカリ化により上昇し、酸性化で低下した。本章では、尿pHコントロール食がフェノバルビタールの尿排泄率を変化させ、薬物動態に影響をおよぼすことが明らかとなった。第3章 薬物-病態相互作用:僧帽弁閉鎖不全(MR)が新規心不全薬ニコランジルの薬物動態におよぼす影響 イヌの心不全治療(主にMR)にはACE阻害薬、ジゴキシン、ループ利尿薬、ピモベンダンが用いられているが、これらを併用しても十分な効果を得られない症例が少なくないため、新規心不全薬の開発が待たれている。MRは薬物の体内動態に影響を与えることが報告されているため、本章では、獣医領域で有用性が期待される冠血管拡張薬ニコランジルとMRとの相互作用の可能性について追究した。作出したMR犬にニコランジルを経口投与したところ、ニコランジルの血中濃度は投与量依存性に増加した。薬物動態学的解析の結果、ニコランジルの体内動態はMR犬とコントロール犬との間に差は認められなかった。MRがニコランジルの薬物動態には影響を与えないことが示唆された。第4章 薬物-経口投与補助剤相互作用:経口投与補助剤(ペースト、カプセルおよびオブラート)がゾニサミドの薬物動態におよぼす影響 獣医療では、ペースト状の食べ物、カプセルやオブラートなどの経口投与補助剤は、粉薬や苦い薬物、多数の薬物を投与するときに汎用されているが、これらが薬物動態におよぼす作用は不明であった。本章では、苦みが強いにもかかわらず長期間にわたり反復投与する必要のある抗てんかん薬ゾニサミドを経口投与した時に、これらの経口投与補助剤がゾニサミドの薬物動態に及ぼす影響について追究した。単回経口投与後のゾニサミドの吸収は、ペーストで包むともっとも速く、カプセル、オブラートの順に遅かった。ペースト、カプセルおよびオブラートで包むことはゾニサミドの吸収を遅らせることが明らかとなった。第5章 薬物-サプリメント相互作用:セントジョーンズワートが免疫抑制剤シクロスポリンの薬物動態におよぼす影響 シクロスポリンは、イヌのアトピー性皮膚炎に対し有効性が高い薬物である。セントジョーンズワートは、無駄吠えや分離不安などのストレス要因に対し有用性が認められているサプリメントであり、アトピー性皮膚炎で痒みに苦しむイヌにシクロスポリンとともに併用する可能性がある。本章では、セントジョーンズワートとシクロスポリンの相互作用の可能性について追究した。セントジョーンズワート反復投与開始から少なくとも1週後にはシクロスポリンの血中濃度は減少し、その作用は4週間持続した。小腸および肝臓のCYP mRNA量を測定すると、それぞれCYP2B11/3A12およびCYP2C21/3A12のmRNA量が増加していた。以上の結果より、セントジョーンズワートが小腸及び肝臓のCYP3A12量を増加することによってシクロスポリンの薬物動態に影響をおよぼすことが示唆された。 本論文では、イヌ特有に薬物相互作用を引き起こす因子について薬物動態学的手法を用いて追究した。その結果、併用薬、食餌、病態、経口投与補助剤、およびサプリメントがCYP量増加などを引き起こすことで薬物動態に影響を与える可能性があることが明らかになった。本論文ではイヌの薬物相互作用研究の重要性を示唆するとともに、獣医療における適正な薬物使用法確立の礎を構築した。
著者
太田 光明 江口 祐輔 大木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.110-123, 2007

宏観異常現象というのは,「特別な機器を利用せずに観察できる異常現象」である。この言葉は地震前の前兆として起こる様々な異常現象に対して使われ,古今東西を問わず,様々な形で世の中に知れ渡っている現象である。兵庫県南部地震以降,この異常現象は注目され様々な形で取り上げられている。特に,動物の行動異常に関する情報は多く,この異常現象の情報をうまく収集することができれば,短期予測が可能なのではないか,と考えられる。そのことから,麻布大学動物人間関係学研究室(現:介在動物学研究室)では,NTTドコモの第三次携帯端末FOMAを利用して,イヌとネコの飼い主から普段見受けられない異常行動を発現したときにその行動を写した動画を同研究室に送信し,その行動は地震前兆前の異常なのかどうかを客観的に分析し,異常行動を起こすメカニズムや異常行動に関するデータを収集する,というシステムを始動している。この研究は,このFOMAを利用したモニターの説明を受けた人々が,宏観異常現象(特に動物の異常行動)や,このようなシステムに関してどのように受け止めたのかなどを,アンケート形式で答えていただいて,システムや地震,宏観異常現象の研究についてどのように考えているのかを分析していくものである。アンケートの結果から,ほとんどの人が大学の研究内容について知る機会がないとの回答であった。また,アンケートに回答していただいた方のうち,動物を飼っている人が過半数であるにもかかわらず,モニター参加をしてもよいと答えていただいた人は17%ほどしかいなかった。自由回答の欄では宏観現象について興味があると答えていた人でも実際には自ら「モニターになりたい」と答えていた人はほとんどいなかった。臨震情報を作り上げる上で,動物の異常行動の小さな情報を積み上げていくことは,とても重要なことである。臨震情報によって,多くの命を救うことができることが,被害想定でもしっかりと予測されている。地震の被害を最小におさえるために,各専門家や企業,個人が自分には何ができるのかをしっかりと考えて行動し,「差し迫る危険」に対してどう対処すべきなのかをじっくり考える機会を待つべきである。このシステムに参加することにより,日ごろから地震に対する防災意識が芽生えるとともに,ペットとのよりよい関係を築くことができれば,よりよいペットとの住空間を作り上げることができると考える。
著者
森田 英利 坂田 亮一 加藤 行男 久松 神
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.176-181, 2002

亜硝酸ナトリウム(NaNO_2),塩化ナトリウム(NaCI)あるいは数種類の抗生物質で処理したベロトキシン産生大腸菌(VTEC)O157:H7の3株から,ベロトキシン(VT)1型と2型の放出量を定量した。VTEC O157:H7のうち,2株がVT1型とVT2型の両者を産出し,1株がVT2型のみ産出した。VTEC O157:H7をNaNO_2(最少発育阻止濃度である6,000mg/L)で処理したがVT1型およびVT2型の放出量は増加しなかった。NaNO_2由来の一酸化窒素(NO)の抗菌メカニズムを明らかにするために,NaNO_2で処理したVTEC O157:H7の細胞を77Kでの電子常磁性共鳴吸収(EPR)法に供した。その結果,g値2.035と2.010のEPRシグナルを検出し,細胞内に鉄硫黄タンパク質とNOが反応して形成されたジニトロシル鉄硫黄錯体が存在した。またATPの合成も阻害されていた。このことから,NaNO_2出来のNOは細胞内に入り,呼吸鎖に関与する酵素を不活化したものと考えられた。
著者
植竹 勝治 中谷 治奈 増田 尚子 吉田 善廣 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17/18, pp.191-193, 2009-03-31

γ-アミノ酪酸 (GABA) の経口投与が肉用牛の長距離輸送および出荷・屠畜時のストレスを低減するかどうかを調べた。試験1では,対照区の去勢牛4頭に20mLの蒸留水を,処理区の去勢牛4頭に体重当たり10mgのGABA粉末を20mLの蒸留水に溶解した水溶液を,それぞれ130.1kmの陸路輸送直前に経口投与した。分散分析の結果,供試牛の唾液中コルチゾール濃度に対する処理と輸送経過時間との交互作用は,経過時間が60分までは有意 (P<0.05) であったが,120分以降については有意ではなくなった。試験2では,肥育牛20頭を5頭ずつ4処理区に分け,屠畜場への輸送前と翌朝の屠畜直前に,G区には13gのGABA粉末を100mLの蒸留水に溶解した水溶液を,S区には100mLの生理食塩水を,SG区には輸送前に生理食塩水と屠畜直前にGABA溶液を,それぞれ経口投与した。C区には輸送前も屠畜直前にも何も投与しなかった。多重比較検定の結果,いずれの処理区のウシの血漿コルチゾール濃度も,C区のウシよりも有意に低かった (全てP<0.01)。血漿アドレナリン濃度も,C区に比べ,S区のウシで有意に低く (P<0.05),G区のウシで低い傾向 (P<0.10) がみられた。これらの結果から,GABAの経口投与は,肉用牛の輸送および屠畜時のストレスを投与後数十分間は低減させることが確認された。
著者
坂田 亮一 岡谷 友三 アレシヤンドレ
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.125-128, 2008

本実験では,蒸し加熱で試作したソフトソーセージの破断特性および微生物学的品質を調べた。最大荷重,破断荷重,破断応力,破断歪率,破断エネルギーのすべてにおいて,調理当日の試料の値が低く,冷蔵試料,凍結試料の順で値が上昇し硬くなることが分かった。また,当日試料はほぼ平坦な波形を示し,冷蔵試料,冷凍試料は破断後,上昇したり,下降したりする波形を示した。当日試料に比べて冷蔵試料,凍結試料が硬くなったのは,冷蔵,凍結のせいではなく,蒸し加熱と重曹によってケーキの様に膨らんだ生地が真空包装によって締まったからだと思われる。また,調理当日測定のソフトソーセージはつみれ(いわし,ほっけなどを原料)と非常に類似した破断特性を示した。 微生物学的品質では,大腸菌群,黄色ブドウ球菌,サルモネラは検出されず,生菌数も指導基準の菌数限度を大きく下回る値となった。これは80℃で30分間の加熱処理によるものと考えられる。Soft sausages prepared by steam-cooking were investigated to measure their rheological nical properties and microbial quality. Maximal force, breaking strain and other property values are lower in the fresh soft sausage but were found to increase with refrigeration and freezing. The fresh sausage showed a flat wave pattern, but those of the refrigerated and frozen samples rose and fell, which caused hard structure in the sausage. The fresh soft sausage showed to have similar rheological properties to tsumire (fish meatball). With regard to microbial quality, E. coli, Staphylococcus aureas and Salmonella were not detected, and the aerobic bacterial counts were observed to be below the standard guideline level in Japan. This seems to be the effect of steam-heating at 80 ℃ for 30 min.
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2015

The so-called “Ogasawara cockroaches”, which hitherto has also been synonymously called “Surinam cockroaches”, are widely distributed throughout the world in the tropical and sub-tropical areas. In Japan, their distribution is limited to Kagoshima in Kyushu and the island chain of Nansei and Ogasawara island chain. In recent years, this cockroach has invaded into urban buildings and abode, resulting in the report of their capture or eradication attempts. The problem of urban buildings invasion by this cockroach has also been seen in other countries. From an epidemiological perspective, Kim and Erko (2008) reportedly detected the potentially zoonotic helminth ascarid and taeniid eggs on the body surface of this species of cockroach in Ethiopia. Furthermore, they also reported the presence of trichurid eggs and Entamoeba coli cyst in the digestive tract of the cockroach. These findings has put the spotlight on the role of the cockroach as a potential mechanical transmitter zoonotic infectious diseases.Regarding the constituent species of the so-called “Ogasawara cockroaches” or “Surinam cockroaches”, it seem that there were two apparently morphologically similar species, namely Pycnoscelus indicus and Pycnoscelus surinamensis, with the former showing bisexual reproduction and the latter, parthenogenesis. For the identification of these two species, Roth (1967) proposed that for the adults, irrespective of the presence or absence of sperms in the spermatheca, those which produce only female offspring should be identified as Pycnoscelus surinamensis, while those that produce both male and female offspring should be relegated as Pycnoscelus indicus. Moreover, he also reported that there were morphological differences between the two aforementioned species, based on the distance between the compound eye and ocelli. In P. indicus, the ocelli and the compound eyes were separated, whereas in P. surinamensis, the two eyes were in contact.The male of P. indicus are relatively more susceptible to dryness than the female, and easily died off under non-optimal environmental condition, leading to reduced chances of mating. However, since P. surinamensis is parthenogenetic and does not need male to reproduce, they can even proliferate under a harsh environmental condition if a single female is able to invade and survive under that condition.Asahina (1991) reported that both male and female individuals could always be found among the “Ogasawara cockroaches”, without noting that the female were parthenogenetic. This led him to suspect that the Japanese “Ogasawara cockroaches” might include P. indicus. However, he proposed that until the detailed breeding experiments had been carried out, the “Ogasawara cockroaches” should all be tentatively be identified as P. surinamensis. Thus, despite that the Ogasawara cockroaches has been recognized as a pest, their species identification and distribution has not been clearly elucidated.To clarify the species involved, first of all, we need to establish a criteria be able to identify the sex of the cockroach at the larval stage before they mature into set out to establish a method to differentiate the sex of male and female cockroach from the larval stage to the adult stage. Sexual differentiation of the cockroach nymph for all the instar stages of Blatta orientalis, Supella longipalpa and Periplaneta fuliginosa has been established, based on the morphological observation of the abdominal segments of the in star.In our study, cockroaches were collected in Ishigaki island, Taketomi-cho, district, Okinawa prefecture, Japan. They were then reared and passaged for several generations in the laboratory. Only those groups that produced offspring, which matured into male and female adults were used in the following experiment. The instar that hatched from the eggs were immediately isolated and separated according to their morphoplogical characteristic of ventral segments. Changes on the ventral segment were also noted for each instar stages and ultimately, the sex of the mature adult for each group was determined. Using the aforementioned method, the female of the 1st to 6th stage instar nymph were found to possess a V-shaped notch at the middle of the posterior edge of the 9th sternite. This notch was not seen in the male nymph. In the female 7th stage (final stage) instar nymph, the styli were not apparent and, the 8th and 9th sternites became degenerated and were covered over by the profoundly developed 7th sternite. In contrast, all stages of the male nymph until the 7th stage nymph showed the presence of the 8th and 9th sternitesas well as styli. Based on these observations, our study has demonstrated that it is possible to differentiate the sex of the Indian cockroach, P. indicus, at different developmental stages.Next, to identify the various specimens as to which stage the nymph instar belong to, we counted the number of cercal segments from the dorsal and ventral view. It was observed that the number of cercal segments from the dorsal view in 2nd and 3rd stage nymph were the same, that is 4 and thus could not be used to identify the nymph stage. However, when viewed ventrally, it was observed that the number of cercal segments on the1st stage nymph was 3; 2nd stage, 4; and in the subsequent stages, an increase of one extra segment for each stage. The number of cercal segments of all the stages of the female, right up to the 7th stage nymph, when viewed ventrally were the same as that of the male nymph. Therefore, the developmental stage of the nymph could be identified by examining the number of segments from the ventral view.Based on the above results, we set out to confirm species and distribution of Surinam cockroaches inhabiting Japan. We collected cockroaches from Ogasawara island chain (Iwoto, Hahajima, Chichijima, Nishijima, Nakodojima), Amami island chain (Tokunoshioma, Amamiooshima), Okinawa island chain (Okinawato, Miyakojima, Ishigakijima) and Hawaii, kept the female in solitary rearing for use in later mating experiments. Cross breeding experiments that were carried out showed that there were those cockroaches from Iwoto, Tokunoshima, and Okinawato that produced only female offspring, and also that produced both male and female offspring. The former group was designated A group and the latter, B group. Both groups comprises of 14 isolates from 11 areas. The cockroaches from both groups were then used for subsequent cross breeding experiments. For the cross breeding experiments, those specimens that produced only female offspring were mated with those male from Hawaii that had produced both male and female offspring and had been identified a P. indicus as previously reported by Roth (1967). From the results of our study, the area that contain the two different characteristic types of the cockroaches were Iwoto, Tokunoshima and Okinawato, whereas an individuals of Iwoto- A group, which produced a total of 478 female and no male offspring, despite having sperms in their spematheca, can be identified as P. surinamensis. On the contrary, while those of Iwoto-B group with all having sperms in their spermatheca, produced a total of 168 male and 157 female offspring in an average ratio of 10.8 to 10.5 (p>0.05) with no significant difference in the sexual ratio, can identified as P. indicus. Cockroaches of Tokunoshima-A group that produced a total of 221 female and no male offspring, despite having sperms in their spematheca, can be identified as P. surinamensis, while those of Tokunoshima-B group with all having sperms in their spermatheca produced a total of 242 male and 207 female offspring in an average ratio of 12.1 to10.4 (p>0.05) with no significant difference in the sexual ratio, can thus be identified as P. indicus.On the same note, female cockroaches of Okinawato-A group that produced a total of 724 female and no male offspring, despite having sperms in their spematheca, can be identified as P. surinamensis, while those of Okinawato-B group with all having sperms in their spermatheca produced a total of 322male and 312 female offspring in an average sexual ratio of 16.1 to 15.6 (p>0.05) with no significant difference in the sexual ratio, can be identified as P. indicus.Thus, both species of P. surinamensis and P. indicus were found to be distributedon the three islands of Iwoto, Tokunishima and Okinawa, with their habitat overlapping with each other.The group of five F1 female cockroaches from Hahajima, Chichijima, Nishijima and Nakodojima, produced a total of only 248, 59, 663 and 143 female offspring, respectively and no male offspring, despite having sperms in their spematheca. These cockroaches were identified as P. surinamensis. Thus, there is a possibility that only P. surinamensis and not P. indicus are distributed on these four islands.The group of five F1 female cockroaches from Amamiooshima, Miyakojima, Ishigakijima and Hawaii, produced a total of 260 male (M) and 260 female (F) offspring with an average ratio of M:F at 14.4:14.4 (p>0.05) per litter, 230M, 267F, av. 16.4:19.1 (p>0.05) per litter, 281M, 266F, av. 16.5:15.6 (p>0.05) per litter and 199M, 189F, av. 11.7:11.1 (p>0.05) per litter, respectively. Thisprobably indicates that only P. indicus and not P. surinamensis were inhabiting the four islands.From the above results, we can conclude that there are areas in Japan where the distribution of P. surinamensis and P.indicus overlap with each other, and there are also areas in which either only one or the other could be found.Futhermore, all the various specimen from our study were examined for morphologic differences between the 2 species. Roth (1967) stated that P. surinamensis could be morphologically distinguished from P. indicus based on the distance between the ocelli and compound eye, in which the former species show contact between the ocelli and the compound eye, while in the latter species, they are separated. However, in our experiments, we could not find any female adult cockroach of P. surinamensis, whose ocelli were in contact with the compound eye, that is, for the groups that do not produce any male offspring, the distance between ocelli and compound eye in the adult female from the various localities are as follows: Hahajima, 0.16 mm > Chichijima, 0.14 mm > Nakodojima, 0.13 mm > Nishijima, Tokunoshima-A & Okinawato-A, 0.12 mm > Iwoto-A, 0.10 mm, respectively, with an average distance of 0.13 mm. For the groups that produce both male and female offspring, identified as P. indicus, the distance between ocelli and compound eye in the adult female from the various localities are as follows: Hawaii, 0.21mm > Iwoto-B, 0.18 mm > Miyakojima, 0.16 mm > Amamiooshima & Okinawato-B, 0.13 mm > Tokunoshima-B & Ishigakijima, 0.12 mm, respectively, with an average distance of 0.15 mm.There was no significant difference in the distance between the ocelli and compound eye between the two species. Thus, this morphological criterion is not applicable for species identification.The length of tegmina has been used as a criterion for species identification in many insects. Thus, we proceed to measure the length of the tegmina of the adult female cockroaches in our study. For the groups that do not produce any male offspring, identified as P. surinamensis, the average tegmina length of the adult female from the various localities are as follows: Okinawato-A, 15.82 mm > Hahajima, 15.26 mm > Nishijima, 15.07 mm > Nakodojima, 14.16 mm > Chichijima, 13.81 mm > Tokunoshima-A, 13.57 mm > Iwoto-A, 12.87 mm, respectively. For the groups that produce both male and female offspring, identified as P. indicus, the average tegmina length of the adult female from the various localities are as follows: Okinawato-B, 14.72 mm > Hawaii, 14.64 mm > Iwoto-B, 14.35 mm > Ishigakijima, 13.81 mm > Tokunoshima-B, 13.54 mm> Amamiooshima, 13.53 mm > Miyakojima, 12.96 mm, respectively. It was observed that there was not much difference in the tegmina length among the specimens from different localities and also between the two species, thereby excluding the used of this criterion for species identification.Moreover, to differentiate the species without using the cross breeding experiment, we tried the method of solitary rearing of the unmated female adult cockroaches obtained from our previous experiments. Our results showed that all individuals identified as P. surinamensis produced offspring, and based on our previous sexual differentiation method of the nymph, all the offspring nymph were found to be female. On the contrary, individuals identified as P. indicus did not produce any offspring. From this observation, we can identify the species of the adult female cockroach collected from the wild by solitary rearing and examining the sex of the offspring produced. Thus, those female adult that produce only female offspring can be identified as P. surinamensis and that that produce both male and female offspring or those that did not produce any offspring can be identified as P. indicus.Based on the results of the above studies, the so-called “Ogasawara cockroaches” which has until now been thought to consist of only P. surinamensis, actually also comprises of P. indicus, which are also distributed in the same area. From our study, we have also added one more species of cockroach that inhabit Japan, that is to 58 species. Until recently, P. indicus and P. surinamensis were thought to be distributed in different areas but our study shows that there are areas in which both species co-habitat together and there are also areas in which either only one of the two species can be found. This finding has deep implication for future studies. In addition, we also found that the criterion of using the distance between the ocelli and the compound eye for species identification, as proposed by Roth (1967), is applicable nor reliable. We propose an alternative method in the form of solitary rearing of wild female adult and determining the sex of the offspring for species identification. Those that produce only female offspring be identified as P. surinamensis, while those that produce both male and female offspring, as well as that that failed to produce, should be regarded as P. indicus. Since the report by Asahina (1991) that species identification of “Ogasawara cockroaches”, needs further clarification, the results of our present study has provided the answer to his question through our morphological observation, cross breeding and solitary rearing experiments of those cockroaches.
著者
桐生 崇 光崎 龍子
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.49-59, 2003

High economic growth in Japan has affected social structure and local populations. After urban concentration of the population, residential areas developed in suburbs existing towns and cities surrounding the big cities. Population movement is a phenomenon that constructs new social relationships in combination with existing relationships and it is necessary to understand this phenomenon on the basis of an aggregate of individually occurring phenomena. Sagamihara city, Kanagawa Prefecture, is located 30-40km from Tokyo, and has developed as a satellite town. This city is suitable for development, but geographically it has a long axis from north to south, and the transportation connecting Tokyo has clustered on one side. We examined the social local characteristic through human relationships as a measure of the problems related to residential life. The following conclusions were drawn: 1. Population growth in Sagamihara was related to transportation and high economic growth. Because of changes to the social structure, the population trend is increasing, and social increase is a great contribution to this trend. 2. As to the population structure, the population of Sagamihara was small in 1965, but it had doubled by 1975, when it showed the star shape of an urbanized population structure. Now, it is showing a change to the gourd shape, suggesting population decrease. 3. Future municipal policies in Sagamihara should take this aging into consideration.
著者
吉本 正 谷田 創 田中 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989 (Released:1989-04-01)

研究者らは1985年以来,暑熱環境における雄豚のサマ-ステリリティについて検討を行ない,30〜35^。Cの環境温度において3〜6週間飼養すると明らかに造精機能が低下することを認めた.現在は,その造精機能の低下防止について検討を行なっており,平成元年からは当補助金を受け,局所冷却による造精機能の低下防止法について検討を行っている.初年度は,自然環境下において局所冷却(豚の首〜肩部に水滴を落下させる drip cooling法)を行ない,その効果をサ-モグラフィ-を用いて生理反応の面から検討した.その結果,自然環境温(29〜31^。C)の条件下においては,局所冷却を行なうことによって豚体の皮膚表面温を2〜3^。C抑制する効果が認められた.2年度は環境調節室を用い,適温期(24^。C一定)を3日間,加温期(33^。C,10h;28^。C,14h)を4週間とし,大ヨ-クシャ-種雄豚6頭を用いて,同様の調査を行なった。実験1では,水滴の落下位置を検討するために,33^。Cの室温において,頭部,頸部,精巣部に水滴を11分ごとに1分間,滴下させて,それが全身の皮膚温に及ぼす影響を調査した.その結果,頸部に水滴を落下させた場合に全身の皮膚温を低下させる効果が認められた.実験2では,実験1の結果を基に,頸部に水滴を落下させた場合における適温期および加温期(33^。時)の心拍,呼吸,直腸温,サ-モグラフィ-による皮膚温および精液性状を調査した.その結果,心拍数および呼吸数に対しては大きな影響を与えなかったが,直腸温および皮膚表面温については約1^。C上昇を抑える効果が認められた.以上のことから,drip coolingによる局所冷却は,雄豚のサマ-ステリリティ-の方止に十分,活用できる方法であることが示唆された.
著者
森 裕子 遠藤 伸 伊藤 亨子 柏崎 直巳 二宮 博義 猪股 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.125-127, 2006

本研究は,ビオチン欠乏がラット海馬へ及ぼす影響について,Timm染色法を用いて海馬組織を組織計測するとともに,DNAマイクロアレイ法を用いて海馬組織における遺伝子発現を検証した。組織学的観察では,歯状回,CA1,CA3の各エリアにおいてBD群の方がBS群より神経細胞が小さい傾向を示し,ビオチン欠乏により海馬神経細胞の代謝活性が低下していることが示唆された。また,Hilus,Lucidum領域のシナプス密度は,背側海馬(頭側)では両群の間に差は認められなかったが,腹側海馬(尾側)ではBD群の方がBS群より有意に増加しており,ヒト側頭葉てんかんに見られる所見に類似することが示唆された。さらに海馬組織の遺伝子発現については,BD群では細胞間や細胞内情報伝達に関わる複数の遺伝子(アセチルコリン作動性受容体,AMPA型受容体,神経軸策伸張に関わる関連遺伝子)が抑制されており,ビオチンが遺伝子発現にも重要な働きを示すものと推察された。ビオチンは脳機能の維持,特に記憶・学習に関与している可能性がある。
著者
服部 正平 森田 英利
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-60, 2016-03-31

メタゲノムからヒト常在菌叢の生態と機能を読み解く
著者
渡辺 昭治
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
1976-04-26

薬剤の開発から各種実験等における実験動物科学のめざましい進展は近年特に著しいものがある。そこで著者は実験動物を用いFT-207〔N_1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil〕の実験的腫瘍に対する制癌効果に関する研究をする機会を得た。FT-207はラトビア共和国科学アカデミー会員のHillerらにより制癌剤として合成された化合物である。FT-207は各種の実験的腫瘍に有効であるとされ、また臨床例においても特に腺癌(主に胃癌および大腸癌)に効果を示し、FT-207は動物実験および臨床例での毒性、副作用(吐気、嘔吐、めまい、下痢等)はDuschinskyらにより、antipirimidine剤として合成された5-Fu(5-Fluorouracil)に比べきわめて少ないとされている。FT-207は白色の無晶形粉末でdimethyl formamideによく溶け、Chloroformおよびmethanolにやや溶けやすい、融点は164~169℃で分子量は200.17である。5-FuはDuschinskyによりantipirimidine剤として合成され、白色または微黄色の結晶で、ほとんど無臭、水、エタノールにわずかに溶ける。Heidelbergerらによって著しい制癌効果を有することが報告された。作用はformate-C^14のDNAのチミジン酸へのとりこみを阻害することからDNAの生合成を阻害するといわれている。臨床的にはとくに大腸癌に有効であり、副作用として悪心、嘔吐、下痢、脱毛、血便、白血球減少などが頻発するといわれている。分子量は130,08である。FT-207の作用は生体内において徐々に抗癌作用のある活性物質に変換されDNAの合成阻害を示す。血中および組織内濃度が長時間持続すると共に毒性面においても低毒性であり、優れた抗腫瘍効果を発揮する。FT-207が本邦に始めて導入されたのは1970年1月であり、この時より日ソ共同での研究が開始され、著者は実験動物により毒性実験を実施し、これを基にして各種実験的腫瘍を用いて効力実験を行ない、あわせて生体内分布、排泄、代謝実験を実施した。 1. 毒性実験 マウス及びラットを使用した急性、亜急性及び慢性毒性実験の結果、FT-207は5-Fuに比べて毒性が低く、薬用量の約3倍投与による催奇型実験においても安全性が立証された。 2. 効力実験 FT-207の実験的腫瘍に対する制癌効果については、4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37をマウスに、吉田肉腫、AH-130及びローダミン肉腫をラットにそれぞれ移植し、移植24時間後からFT-207をマウス及びラットにそれぞれ腹腔内投与及び経口投与した。そして腹水腫瘍抑制実験、固型腫瘍抑制実験及び延命効果実験を実施した。その結果、腹水腫瘍抑制実験では腹腔内投与においてSarcoma37に対し効果がみられた。固型腫瘍抑制実験では、腹腔投与において4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37、AH-130、ローダミン肉腫の実験的腫瘍に対し効果がみられた。また経口投与においては吉田肉腫、AH-130において効果がみられた。延命効果実験では腹腔内投与において、Sarcoma37に効果がみられ、経口投与ではSarcoma180、Sarcoma37にそれぞれ効果がみられた。この様にFT-207は固型腫瘍に効果を示し、かつ副作用も極めて低い制癌剤であることが分った。著者はさらにFT-207坐剤投与における転移肝腫瘍の形態的変化を観察した。 最近転移癌の化学療法等による治療法が注目されるようになった。しかし転移肝腫瘍の治療法となると現在のところ確実に完治せしめ得る方法はない。治療法としては転移巣と共に肝を切除する方法、放射線治療等が行なわれているがあまり効果的でないようである。そこで残されたのは化学療法による治療法である。著者は、白色家兎の転移性肝腫瘍に対する化学療法を行ったところ、意義ある結果を得た。すなわち、著者は徳島大学医学部(井上教授)より家兎のB.P腫瘍をゆずりうけ、B.P腫瘍細胞数と肝腫瘍生に関する基礎的実験より、B.P腫瘍細胞数1.0×10^3個を盲腸上腸間膜静脈より注入する事により、転移肝腫瘍を発生させる事に成功した。そこでFT-207投与群5羽、FT-207無投与群5羽にそれぞれB.P腫瘍細胞を家兎の盲腸上腸間膜静脈より1.0×10^3個を注入し、肝へ転移せしめ、転移後28日目に肝を摘出し、転移肝腫瘍を形態的(肉眼的、病理組織学的)に比較した。肉眼的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍数が少なく、B.P腫瘍の大きさもFT-207坐剤投与した方が著じるしく小さく、縮小効果を示した。 組織学的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍組織と肝の正常組織との間にみられる細胞の反応層が広く、B.P腫瘍組織の増殖を抑制していることがわかる。FT-207を経直腸的に投与する坐剤が開発され、その血中濃度の推移から経口投与におとらぬ効果が期待され、経口投与不能症例に有用であると考えられる。又、中野等の行なったFT-207の使用経験でも扁平上皮癌に著効例がみられたと報告しておる。岡崎等は有効率の低かった腺癌の肝転移例の治療成績がFT-207の導入により向上したと述べている。 これらの事より本剤は投与方法が簡便で他の制癌剤に比べ長期にわたり投与でき、今後利用価値の高まる薬剤と考えられる。 3. Bioassay法によるFT-207の体内分布、排泄及び代謝実験 実験動物を用いFT-207の生体内動態をBioassay法で検討した結果、本剤は血中及び組織中で長く存在し、尿中への排泄も5-Fuに比べ著しく遅れる。更に長時間留まった本剤は徐々に抗菌性及び抗癌性の強い活性物質に転換されていく。特に経口投与において、この性質は助長される。FT-207及びその活性物質の長時間持続性は、5-Fu投与の際にはみられない特性であって、5-Fuよりも制癌作用の持続時間が長くなることを期待させるもので、臨床面での治療法を考える場合、その投与方法などに大きな示唆を与える。活性物質として5-Fu、FuR、FuRMP等に代謝され、これらの活性物質が制癌作用を示すものと考えられる。活性化は肝において最も強く、特に腫瘍組織内に活性物質が極めて高値にしかも長時間認められることは注目に値する所見である。
著者
原 元宣 木内 明男 福山 正文
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.215-220, 2004

一般的に雄は仔猫に興味を示すことはなく,仔猫の世話をするのは専ら雌猫であるが,今回は,雄成猫が感染源となり,仔猫へ感染するという結果となった。
著者
藤野 寛
出版者
麻布大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

ボルナウイルスのN遺伝子が内在化した内在性ボルナウイルス様N因子(EBLN)は多くの動物で見つかっており、特にジュウサンセンジリス由来の EBLN(itEBLN)はBDVの感染を抑制することがわかっている。そこで、本研究ではその抑制機構を解明するために欠損体を作成しBDVに対する影響を確認した。共免疫沈降法及び蛍光抗体法によりitEBLNとBDVタンパク質との結合性を確認した。その結果itEBLNはBDVのNタンパク質に結合してBDVのmRNA発現を抑制させることでウイルスの感染を阻害している可能性が示唆された。
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2017

元資料の権利情報 : 本論文の一部は以下のとおり公表されている。Part of this dissertation is an Accepted Manuscript of an article published by Taylor & Francis in Journal of Anthrozoös on 2017, available online: http://wwww.tandfonline.com/10.1080/08927936.2017.1335115Kobayashi, Ai ; Yamaguchi, Yusuke ; Ohtani, Nobuyo ; Ohta, Mitsuaki(2017). The Effects of Touching and Stroking a Cat on the Inferior Frontal Gyrus in People, 30(3), 473-486.
著者
大木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.11-24, 2007-03-31

The purpose of this paper was to clarify the structural changes in sanchoku producer organizations (direct purchasing between co-op and producer organization). Since the 1990s based on the survey of consumer coop A's producer organizations. We also make some suggestions for the coop sanchoku business model. Sanchoku were started in the 1970s in order to obtain safe foods, which are low in agricultural chemicals. Throughout the 1980s sanchoku coops developed continuously, establishing safe food supply systems. But in the 1990s', coop retail busineses faced difficulties, especially with fresh food collection and supply systems. In 2002, mislabeling and use of non-permitted pesticide was discovered. Sanchoku coops were seriously damaged with sales falling by half. As a result of our survey we reached some conclusions. 1) Producer organizations are diversifying in each food category with regard to size, area, purpose, and sales volume. 2) Especially, type of management is getting diverse. 3) Most farmers just focus on their farm management. They aren't concerned about their local society and other farmers. Moreover, there are some differences among their points of view. Rice farmers tend to have a viewpoint of their local area. Fruits & vegetable farmers focus on the quality of their produce more than other farmers. Stockbreeding farmers have concentrated on the survival of their own farm or company. These results suggest that coops should build alliances with producer organizations in order to control or keep priority of their fresh food buying-distribution systems. If coops can't tie up with producer organizations, the food system might become supervised by big powerful agribusinesses. Under such a system we would never know any information without it being provided by big companies.
著者
岩橋 和彦 吉原 英児 青木 淳
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.115-119, 2009-03-31

我々はセロトニントランスポーター (5-HTT) 3'非翻訳領域 (3'UTR) 遺伝子多型の影響, 疼痛感受性個人差の原因, 性格の遺伝要因を解明する一助として5-HTT 3'UTR遺伝子多型と痛覚閾値およびパーソナリティとの3つの要因の関連性について調査検討を行った。 181人の健常者を対象に, 5-HTT 3'UTR遺伝子多型の判定には制限酵素切断長多型解析法を用い, 痛覚閾値に関しては冷水刺激試験および圧刺激試験を, パーソナリティの測定にはTCI (Temperament and Character Inventory) を行った。 遺伝子多型と痛覚閾値には関連がなかった。遺伝子多型とTCIの相関について, 男性ではST3{超個人的同一化 (vs. 自己弁別)}が遺伝子型G/G群で有意に高く, 女性ではST (自己超越性総合点) およびST2{自己忘却 (vs. 自己意識経験)}が遺伝子型G/T + T/T群で有意に高かった。痛覚閾値とTCIとの関係について, 男性群で冷水刺激閾値とNS4{無秩序 (vs. 組織化)}およびNS (新奇性追求) で負の相関, 女性群で冷水刺激閾値とSD4 (自己受容), C5{純粋な良心 (vs. 利己主義)}および圧刺激閾値とSD4 (自己受容) で正の相関が認められた。本研究から5-HTT 3'UTR遺伝子多型はCloningerの理論における性格次元に影響を与える可能性がある一方で, 痛覚は5-HTT 3'UTR遺伝子多型と関与せず, 一方でパーソナリティの一部と相関関係にある可能性が示唆された。To estimate the genetic factors influencing individual differences in sensitivity to pain, we have examined the associations among serotonin reuptake transporter (5-HTT) 3' UTR gene polymorphism, sensitivity to pain and personality. After the procedures were fully explained and written informed consent was obtained, 5-HTT 3' UTR gene polymorphism was investigated by PCR-RFLP, and personality assessment was performed by means of Temperament and Character Inventory (TCI), and pain threshold by means of cold water and pressure stimulation tests in 181 healthy Japanese volunteers. Males with the T allele (T/T and T/G) showed a significantly lower Self-Transcendence (ST) 3 subdimension score than those without the T allele (G/G). Females with the T allele (T/T and T/G) showed significantly higher ST2 subdimension and ST dimension scores than those without the T allele (G/G). There was no significant relationship between 5-HTT 3' UTR gene polymorphism and pain sensitivity. As for pain sensitivity and TCI, there was low negative correlation between cold water stimulation in males and Novelty Seeking (NS) 4 subdimension and NS, and low positive correlation between cold water stimulation in females and Self-Directedness (SD) 4 subdimension and Cooperativeness (C) 5 subdimension, and between pressure stimulation in females and SD4. It is possible that 5-HTT 3' UTR gene polymorphism may affect the character dimension in the theory of Cloninger, however, 5-HTT 3' UTR gene polymorphism may not be related to the sense of pain, and that there is low correlation between pain and a part of the personality.