著者
小田 裕昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

栄養・運動・睡眠は健康の要である。この3つの要素は生物時計という観点で見ると,統合的に制御できると考え、臓器間時計ネットワークの同調を介して代謝を正常化させて健康に結びつけるための分子的基盤を明らかにすることを目指した。摂食リズムが不規則になるモデルとして,ダラダラ食いや,夜食症候群モデルを作成してきたが,ヒトでも起きうる不規則な摂食タイミングとして朝食欠食を取り上げた。朝食欠食は,休息期から最初の食事が数時間だけ遅れるだけであるが,代謝異常が起きることが多くの研究で明らかになっている。朝食欠食モデルを作成して,様々な実験食を与えて,実験を行ってきた。高脂肪食では,肝臓時計と肝脂質代謝のリズムが数時間遅れるが,高コレステロール食では,肝臓時計が変化せずに肝脂質代謝が遅れた。いずれの場合も活動期の体温上昇が遅れることは同じであり,摂食タイミングの数時間の遅れが,脳視床下部の体温中枢へは同じ影響を与えていることがわかった。何を食べるかということと,そのタイミングが相乗的な効果を生んでいることが初めてわかったためその因子を検討しはじめることにした。時計リセット食品の探索の一貫として,まず三大栄養素の中でほとんど検討されてきてこなかった糖質について検討した。スクロースでは,肝脂質代謝の異常が生じることが知られているが,肝臓時計に影響を与えることはなかった。ところが,肝脂質代謝酵素のリズムを大きく変動させていた。これまで脂質代謝酵素のリズムは,肝臓時計の支配下にいると考えてきたが,食事成分が代謝のリズムを独立に制御することが明らかとなった。

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