著者
俵木 悟
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、一般理論研究に関しては、前年度に収集した論文等を読み込んだ。とくにアメリカ民俗学における個の創造性への着目に対して、ヨーロッパの民俗学に集合的創造(collective creation)に関する議論の展開があることがわかった(ヴァルディマル・ハフステイン、レギナ・ベンディックス等)。実証的調査研究に関しては、岡山県の備中神楽に関して成果があった。若い神楽太夫たちが行っている稀少演目の復活上演や神楽を広めるための活動は、電子メディア上でのやりとりも含む共同的創造の様相として捉えることが可能であり、その一端について他の研究課題のテーマとも関連させて一編の論考を著し、来年度に刊行される予定である。また必ずしも本研究課題の期間中の調査に基づくものではないが、以前の調査成果を本研究課題のテーマに沿った問題設定も踏まえて新たに論じた2本の論文が刊行された(業績①②)。さらに本研究課題の着想にいたる背景の一つであった国際的な無形文化遺産保護の取り組みについてこれまで論じてきた論考をまとめた単著を刊行した(業績③)。さらに、前年度に行った本研究課題の中心的テーマであるアートの民俗学的理解に関しての座談会の記録も刊行された(業績④)。総じて今年度は、本研究課題に関連してこれまで行ってきた業績の刊行という面で成果が多かった。業績 ①「伝承の「舞台裏」─神楽の舞の構造に見る、演技を生み出す力とその伝えられ方」飯田卓編『文化遺産と生きる』(臨川書店、2017) ②「「正しい神楽」を求めて―備中神楽の内省的な伝承活動に関する考察―」『日本常民文化紀要』33(2018) ③『文化財/文化遺産としての民俗芸能―無形文化遺産時代の研究と保護』(勉誠出版、2018) ④小長谷英代・原聖・俵木悟・松本彰「特集討論「アート」:社会実践と文化政策」『文化人類学研究』18(2017)

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