著者
土屋 葉 時岡 新 渡辺 克典
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本研究の目的は、「ディスアビリティ」と「ジェンダー」という2つの異なるポジショナリティによって差別状況におかれている集団である、障害のある女性をめぐる複合的な差別構造を明らかにすることである。障害女性をめぐる差別構造については様々な視点から研究がなされてきたが、その蓄積は未だ不十分であり、彼女らが置かれたより複雑な状況を描き出すために、差別の「交差性(intersectionality)」という概念をもちいる。この概念はもともとは黒人女性の雇用をめぐる問題を議論する際に用いられた言葉であるが、人種、性別、社会階層や障害により周縁化された集団の生きられた経験の多重性・多元性を示し、単一的なアイデンティティ政治への批判に応えるものである。今年度の前半は調査準備期間として「交差性」概念を整理するための研究会を行った。並行して、アイデンティティや規範、社会構造の双方に目を配る必要があることを確認し、調査準備をすすめた。具体的には基本属性、学校、住まい、仕事、家族、介護・医療サービスの利用、収入および支出などを尋ねる事前調査票を作成し、調査の効率化を図ると共に、数値データとして加工できるよう整備した。調査項目には、同年代の身近な人と比較した「不利な経験」や「生きづらさの経験」、女性規範などを盛り込んだ。10月より、まず中部地区においてパイロット調査を行い、その後本調査を行った。こうした調査を通じて障害女性の多様な経験の記述を積み重ねることにより、彼女らをめぐる差別構造を明らかにすることができる点で、意義がある。調査項目に階層や地域、経済状況に関する質問項目を盛り込むことにより、障害女性がおかれた複雑な状況を、他のポジショナリティとの交差として捉えられることが期待される。

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障害女性をめぐる差別構造への 「交差性」概念を用いたアプローチ 日本学術振興会・科学研究費助成事業採択課題「障害女性をめぐる差別構造への「交差性」概念を用いたアプローチ」に関するウェブサイトです。(URL:… https://t.co/zHGeBiQnPv

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