著者
渡辺 克典
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-29, 2014-07-31 (Released:2016-04-27)
参考文献数
56

障害学と障害者運動をめぐる研究動向について述べた。障害学研究の動向は、(1)「社会モデル」をめぐる理論的基礎研究、(2)社会科学への応用研究、(3)「当事者」研究、(4)障害学の視座にもとづく主題別の研究がある。障害者運動研究については、(5)日本における障害者運動史、(6)障害者運動史を踏まえたソーシャルワーク・支援研究、(7)地域における障害者運動研究、(8)障害者運動史から障害学のあり方をとらえなおす研究、といったかたちで展開されている。最後に、筆者が考える今後の研究課題として、当事者参画をめぐる政治研究や支援技術への応用を挙げた。
著者
立岩 真也 田中 耕一郎 田中 恵美子 深田 耕一郎 土屋 葉 長瀬 修 山下 幸子 渡辺 克典 廣野 俊輔 天田 城介 堀 智久 岡部 耕典 荒井 裕樹 野崎 泰伸 杉野 昭博
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

◆インタビュー調査を行った。石田圭二、佐藤一成、堀利和、斎藤縣三、本間康二、古込和宏、Gudion Sigurdsson、Conny Van der Mejiden、Danny Reviers、坂川亜由未、高橋咲緒、平井誠一、近藤秀夫、樋口恵子、奥平真砂子、小林敏昭、他。「共同連」関係者については公開インタビューとした。音声記録を文字化した。◆1980年代からの聞き取りの録音記録、文字記録を整理し、リストを作成した。一部の録音記録については文字化した。◆手をつなぐ親の会、りぼん社等から雑誌、機関紙、書籍、等の寄贈を受け、整理・配架した。◆『共生の理論』、『にじ』、『バクバク』、『ノーマライゼーション研究』、『障害児を普通学校へ』等の、既に収集してある機関紙・書籍、また新たに購入・入手したものについて、整理し、必要なものについてはデータベースを作成した。一部についてHPに書誌情報他を掲載した。◆1970年代から2011年の東日本大震災前後の東北・福島における障害者運動の推移をまとめる本の準備作業を行った。◆韓国、中国、台湾、アイスランド、ノルウェー、オランダ等における運動の動向について、韓国で開催された障害学国際セミナーにおいて、また研究代表者・分担研究者が韓国(光州・ソウル他)、ボストン、中国(武漢)等を来訪し、講演・学会参加した際に、運動や運動史に関する情報を提供し、また入手した。◆立岩真也編『リハビリテーション/批判――多田富雄/上田敏/…』(2017)を刊行した。その他、論文を公刊し、学会報告・講演等を行った。◆海外の難病に関わる運動を担う人について英語のHP頁を作成した。立岩『ALS』の関係する章を英訳してHP掲載した。◆以上すべての作業履歴・業績についてhttp://www.arsvi.com/d/hsm.htmに詳細な作業履歴・業績についての情報がある。
著者
伊藤 謙 宇都宮 聡 小原 正顕 塚腰 実 渡辺 克典 福田 舞子 廣川 和花 髙橋 京子 上田 貴洋 橋爪 節也 江口 太郎
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = Nihon Kenkyū (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.157-167, 2015-03-31

日本では江戸時代、「奇石」趣味が、本草学者だけでなく民間にも広く浸透した。これは、特徴的な形態や性質を有する石についての興味の総称といえ、地質・鉱物・古生物学的な側面だけでなく、医薬・芸術の側面をも含む、多岐にわたる分野が融合したものであった。また木内石亭、木村蒹葭堂および平賀源内に代表される民間の蒐集家を中心に、奇石について活発に研究が行われた。しかし、明治期の西洋地質学導入以降、和田維四郎に代表される職業研究者たちによって奇石趣味は前近代的なものとして否定され、石の有する地質・古生物・鉱物学的な側面のみが、研究対象にされるようになった。職業研究者としての古生物学者たちにより、国内で産出する化石の研究が開始されて以降、現在にいたるまで、日本の地質学・古生物学史については、比較的多くの資料が編纂されているが、一般市民への地質学や古生物学的知識の普及度合いや民間研究者の活動についての史学的考察はほぼ皆無であり、検討の余地は大きい。さらに、地質学・古生物学的資料は、耐久性が他の歴史資料と比べてきわめて高く、蒐集当時の標本を現在においても直接再検討することができる貴重な手がかりとなり得る。本研究では、適塾の卒業生をも輩出した医家の家系であり、医業の傍ら、在野の知識人としても活躍した梅谷亨が青年期に蒐集した地質標本に着目した。これらの標本は、化石および岩石で構成されているが、今回は化石について検討を行った。古生物学の専門家による詳細な鑑定の結果、各化石標本が同定され、産地が推定された。その中には古生物学史上重要な産地として知られる地域由来のものが見出された。特に、pravitoceras sigmoidale Yabe, 1902(プラビトセラス)は、矢部長克によって記載された、本邦のみから産出する異常巻きアンモナイトであり、本種である可能性が高い化石標本が梅谷亨標本群に含まれていること、また記録されていた採集年が、本種の記載年の僅か3年後であることは注目に値する。これは、当時の日本の民間人に近代古生物学の知識が普及していた可能性を強く示唆するものといえよう。
著者
土屋 葉 時岡 新 渡辺 克典
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、「障害」と「女性」という異なるポジショナリティの上に置かれている、障害女性を取り囲む差別構造を明らかにすることである。平成29年度は、前年度にひきつづき、生活史法を用いて障害のある女性への聴きとり調査を行った。身体障害のある女性については、中部地区のみならず関西地区においてもネットワークを通じてアプローチした。また、発達障害および知的障害のある女性の支援者に対してパイロット調査を行うと同時に、調査方法について示唆を得た。平成29年度中期には研究会を開催した。まず「交差性(intersectionality)」概念について検討した。調査研究の課題についての認識を共有し、前年度および今年度前期に行った調査から得られた「生きづらさ」に関する具体的な事例から、知見の共有化を図った。とりわけ医療・介助場面、恋愛・結婚・生殖をめぐる問題、精神障害のある女性の経験について、これまで得られたインタビューデータから検討を加えた。具体的には、医療および介助場面において性別と障害、その他の要素がどのように「複合」しているのかを考察し、情報の不足、アクセシブルではない施設や機器、医師の偏見などがあることを明らかにした。また、恋愛・結婚・生殖の領域は必ずしも障害者差別解消法における合理的配慮の範疇にはおさまるものではないが、障害女性の生きづらさを解明する上では重要であることを指摘した。精神障害のある女性の経験については、身体症状からくる困難、女性役割に関する規範意識、雇用に結びつきづらい現状について述べた。これらに加え、障害をもった/発症した年齢や地域性、居住形態等の要素が、女性たちの生きづらさに影響を与えることを示唆した。以上について、2つの学会において報告を行った。
著者
伊藤 謙 宇都宮 聡 小原 正顕 塚腰 実 渡辺 克典 福田 舞子 廣川 和花 髙橋 京子 上田 貴洋 橋爪 節也 江口 太郎
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.157-167, 2015-03

日本では江戸時代、「奇石」趣味が、本草学者だけでなく民間にも広く浸透した。これは、特徴的な形態や性質を有する石についての興味の総称といえ、地質・鉱物・古生物学的な側面だけでなく、医薬・芸術の側面をも含む、多岐にわたる分野が融合したものであった。また木内石亭、木村蒹葭堂および平賀源内に代表される民間の蒐集家を中心に、奇石について活発に研究が行われた。しかし、明治期の西洋地質学導入以降、和田維四郎に代表される職業研究者たちによって奇石趣味は前近代的なものとして否定され、石の有する地質・古生物・鉱物学的な側面のみが、研究対象にされるようになった。職業研究者としての古生物学者たちにより、国内で産出する化石の研究が開始されて以降、現在にいたるまで、日本の地質学・古生物学史については、比較的多くの資料が編纂されているが、一般市民への地質学や古生物学的知識の普及度合いや民間研究者の活動についての史学的考察はほぼ皆無であり、検討の余地は大きい。さらに、地質学・古生物学的資料は、耐久性が他の歴史資料と比べてきわめて高く、蒐集当時の標本を現在においても直接再検討することができる貴重な手がかりとなり得る。本研究では、適塾の卒業生をも輩出した医家の家系であり、医業の傍ら、在野の知識人としても活躍した梅谷亨が青年期に蒐集した地質標本に着目した。これらの標本は、化石および岩石で構成されているが、今回は化石について検討を行った。古生物学の専門家による詳細な鑑定の結果、各化石標本が同定され、産地が推定された。その中には古生物学史上重要な産地として知られる地域由来のものが見出された。特に、pravitoceras sigmoidale Yabe, 1902(プラビトセラス)は、矢部長克によって記載された、本邦のみから産出する異常巻きアンモナイトであり、本種である可能性が高い化石標本が梅谷亨標本群に含まれていること、また記録されていた採集年が、本種の記載年の僅か3年後であることは注目に値する。これは、当時の日本の民間人に近代古生物学の知識が普及していた可能性を強く示唆するものといえよう。
著者
渡辺 克典
出版者
生活書院
雑誌
生存学 : 生きて存るを学ぶ
巻号頁・発行日
vol.8, pp.150-160, 2015-03-31
著者
渡辺 克典
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.17, pp.25-35, 2004-08-10 (Released:2010-04-21)
参考文献数
38

This paper explores the development of common sense knowledge about stuttering correction. IZAWA Shuji (1851-1917) established the Rakuseki-Sha, one of the original organizations for stuttering correction in Japan. He was an advocator of “Japanese” education in the colonial government. His work on speech correction in Japan was a continuation of his research on “Japanese” education for language integration. His stuttering correction was not, however, a continuation of his “Japanese” education but was instead practice based on the scientific method (“Shiwa-Hou”). This paper shows that his speech correction was the application of practical ‘Knowledge’ about normal speech.