著者
安藤 美樹
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を体外で増幅して再び患者体内に戻す養子免疫T細胞療法は、悪性黒色腫などの一部の腫瘍で持続寛解を得ることができるが、多くの腫瘍では慢性的な抗原暴露によりCTLが疲弊し、期待した程の効果を得ることができない。我々の研究グループでは抗原特異的CTLをiPS技術を用いて機能的に若返らせる技術を開発した。iPS細胞より再分化誘導されたCTLはもとの抗原特異性を保ったまま、より強い増殖能を持つ。2015年にはiPS細胞由来CTLがEBウイルス関連腫瘍を効率よく縮小させることをマウスモデルで証明し、現在医師主導型臨床研究を目指して前臨床試験を行なっている。現在までに13名のEBウイルス関連リンパ腫患者(節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型3名、ホジキンリンパ腫2名、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫3名、メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患5名)と1名の健常人ドナーにご登録いただいた。最初にHLAを調べたところ、ほとんどのドナーがA2402もしくはA0201などの一般的なHLA型を持っていることがわかった。その後末梢血よりLMP1, LMP2, BZLF1など様々なEBウイルス抗原に特異的なCTLの誘導に成功し、更にT-iPS細胞樹立とiPS細胞由来CTLの誘導に成功した。誘導開始した患者で、CTLを誘導できなかった患者はステロイドを長期間内服している患者1名のみであった。臨床用プロトコールを作成し、作成期間を大幅に短縮することができた。現在マウスモデルを用いて,投与方法や投与量を検討している。

言及状況

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iPS-T細胞療法が2016年〜2019年総額で直接経費360万円が科研費から支給されることに比べ、AMED採択研究が総額10億円といかに研究費が潤沢か分かる。共同研究をするベースとなる研究費の差が、実用化への速度の差となり、そしてブライトパスの今回の決定に繋がったのだろう。 https://t.co/KwKSJW3Lpn
ブライトパス:iPS-Tの前臨床試験『前臨床試験にご登録いただいた患者数も当初の目標を大きく超え、多くの検体より抗原特異的CTLを誘導でき順調にT-iPSを樹立できている。既に若返りCTLを誘導確認後、T細胞機能評価を行えているものもあり、計画どおりおおむね順調に進展』 https://t.co/KwKSJW3Lpn
ブライトさん。ips-T。 スピード感大切ですよね。 https://t.co/OwMndajPTB

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