著者
住谷 昌彦 四津 有人 大住 倫弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

【目的】運動器慢性疼痛患者では,運動恐怖により運動発現過程で知覚運動協応の破綻が生じていることが報告されているが、その定量的評価は確立されていない.本研究では,到達・把握運動の3次元動作計測から取得される運動学的データを用いて運動恐怖による知覚運動協応の変容を定量的に分析することを目的とする。【方法】上肢の運動恐怖を伴う慢性疼痛患者を対象とし、健肢と患肢それぞれについて3次元動作解析を行った。3 次元位置磁気計測システムを用いて、到達・把握運動の運動軌跡を計測した。到達運動における運動速度の時系列変化を算出し,運動開始から運動速度がピークに達するまでの区間(加速期),運動速度のピークから運動終了までの区間(減速期)に分割した。太さの異なる目標物に対する把握動作の指最大開大幅と手運動速度を計測し、目標物の太さに依存する運動量に応じた運動恐怖の変化を動作解析により客観化できるか評価した。【結果】患肢運動は健肢運動に比して明らかに速度が遅く、指最大開大幅も小さかった。この傾向は、目標物の太さに応じて増悪した。ただし、目標物の太さが大きくなると健肢では指最大開大幅が大きくなり、目標物の太さに応じたこのような傾向は患肢でも維持された。【考察】患肢でも目標物の太さに応じた指最大開大幅は変化したことから生理的な運動表象の立案は行われていると考えられる。一方、目標物の太さに応じて加速期の運動が特に障害され指最大開大幅が不自然に小さくなっていること特に障害されていることから運動実行までの過程で運動恐怖が修飾していることを示唆する。これらの結果から、知覚-運動協応の中枢神経系における内的モデルに運動恐怖による修飾回路を組み入れることに成功した。

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