著者
住谷 昌彦 宮内 哲 前田 倫 四津 有人 大竹 祐子 山田 芳嗣
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-10, 2010-01-25 (Released:2010-08-04)
参考文献数
53
被引用文献数
3

四肢切断後に現れる幻肢痛をはじめとする神経障害性疼痛の発症には末梢神経系と脊髄での神経系の異常興奮とその可塑性に加え,大脳を中心とした中枢神経系の可塑性が関与していることが,最近の脳機能画像研究から確立しつつある.本稿では,幻肢痛を含む病的疼痛全般は脊髄よりも上位の中枢神経系に由来するというわれわれの持論から,まず幻肢の感覚表象について概説し,続いて幻肢の随意運動の中枢神経系における制御機構から「幻肢が中枢神経系にとって健常肢として存在すれば幻肢痛が寛解する」という仮説を提案する.この仮説を,われわれが行っている鏡を用いて幻肢の随意運動を獲得させることによる臨床治療(鏡療法)から検証し,鏡療法の有効性と限界,そして今後の幻肢痛および神経障害性疼痛に対する新規神経リハビリテーション治療の可能性について概説する.
著者
住谷 昌彦 柴田 政彦 眞下 節 山田 芳嗣 厚生労働省CRPS研究班
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.420-429, 2010 (Released:2010-09-15)
参考文献数
16
被引用文献数
3

複合性局所疼痛症候群(CRPS)は激しい痛みに加え,早期から廃用障害を引き起こすことがある.1994年に国際疼痛学会(IASP)からCRPSの判定指標が提唱され広く利用されるに至ったが,その曖昧さから感度は高いが特異度がきわめて低いという問題点が指摘された.米国ではこの問題を解消しようと特異度を効率的に上げる研究がなされ,新たな判定指標が提唱された.そこで厚生労働省CRPS研究班が組織され,米国の研究にならい本邦独自のCRPS判定指標作成を行った.本稿では,a)本邦のCRPS患者の評価と判定指標の作成と,b)CRPS type 1とtype 2という分類の必要性の2点について概説する.
著者
大住 倫弘 住谷 昌彦 大竹 祐子 森岡 周
出版者
日本基礎理学療法学会
雑誌
日本基礎理学療法学雑誌 (ISSN:21860742)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.69-78, 2018-12-18 (Released:2019-01-08)

Goal-directed movements involve representative sensorimotor control, planning, and execution, both sequentially and cyclically. An optimal motor control is necessary to minimize jerk, torque change, variance, interaction torques. Disturbance of optimal motor control may cause or exacerbate pathological pain in patients with complex regional pain syndrome (CRPS). The present review article demonstrated abnormal kinematic feature in CRPS indicating sensorimotor disturbance and pain-related fear. Then, we also demonstrated rehabilitation strategy for them based on analyzing kinematic data. While, phantom limb pain is exacerbated through altered movement representations of their phantom limb, for example, ‘my phantom limb is frozen in one or more peculiar positions’. Previously study hypothesized that visual feedback using a mirror restored the voluntary movement representation of such a ‘paralysed’ phantom limb and simultaneously improved phantom limb pain. This observation generated a working hypothesis ‘distorted movement representation of a phantom limb induces pathological pain as the alarm sign of the limb abnormality'. In the present review article, we demonstrated process of verifying the working hypothesis by using the bimanual circle-line coordination task and rehabilitation with virtual reality system. We suggest the importance of evaluating the movement representations in a quantitative way, and that structured movement representations of the phantom limb are necessary for alleviating phantom limb pain.
著者
住谷 昌彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.93-100, 2015 (Released:2016-04-15)
参考文献数
49

四肢切断後に現れる幻肢痛をはじめとする神経障害性疼痛の発症には末梢神経系と脊髄での神経系の異常興奮とその可塑性に加え,大脳を中心とした中枢神経系の可塑性が関与していることが最近の脳機能画像研究から確立しつつある.幻肢の随意運動の中枢神経系における制御機構をもとに,我々が行っている鏡を用いて幻肢の随意運動を獲得させることによる臨床治療(鏡療法)についてその有効性と限界,そして今後の幻肢痛および神経障害性疼痛に対する新規神経リハビリテーション治療の可能性について概説する.
著者
住谷 昌彦 宮内 哲 山田 芳嗣
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.917-924, 2008-11-14 (Released:2008-12-13)
参考文献数
34

四肢切断後に現われる幻肢痛をはじめとする神経障害性疼痛の発症には, 大脳を中心とした中枢神経系の可塑性が関与していることが最近の脳機能画像研究から確立しつつある. 本稿では, 幻肢痛を含む病的疼痛全般は脊髄上位中枢神経系に由来するというわれわれの持論から, まず幻肢の随意運動の中枢神経系における制御機構について概説し, そこから幻肢が中枢神経系にとって健常肢として存在すれば幻肢痛が寛解するという仮説を提案する. 続いて, われわれが行っている鏡を用いて幻肢の随意運動を獲得させることによる臨床治療 (鏡療法) からわれわれが提案した仮説を検証し, 鏡療法の有効性と限界, 今後の展開の可能性について概説する.
著者
住谷 昌彦 井上 隆弥 松田 陽一 精山 明敏 宮内 哲 真下 節 宮内 哲 精山 明敏 井上 隆弥 松田 陽一 眞下 節
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

難治性疼痛疾患の幻肢痛やCRPS を対象に、視覚系と体性感覚系(疼痛系)のcross-modalityについての心理物理研究を行い、疼痛患者の視覚情報認知が障害されていることを明らかにし、さらにその視覚情報認知を修飾することによって疼痛が寛解することを明らかにした(Sumitani M et al. Neurology 2007 ; 68 : 128-33 ; Sumitani M et al. Neurology 2007 ; 68 : 152-4 ; Sumitani M et al. Rheumatology 2008 ; 47 : 1038-43 ; Sumitani M et al. Eur J Pain 2009 in press)。これらの知見はこれまで知られていた難治性疼痛疾患の発症メカニズムに、体性感覚系だけでなく運動系が密接に関連していることを示唆し全く新規の治療への応用展開が期待できるものである。光トポグラフィーに加えfMRI による運動系と体性感覚系(疼痛系)との相互作用についての脳機能画像研究も継続して行い、deep somatic allodynia と呼ばれる運動時痛の発症メカニズムについての知見を得た。
著者
住谷 昌彦 四津 有人 大住 倫弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

【目的】運動器慢性疼痛患者では,運動恐怖により運動発現過程で知覚運動協応の破綻が生じていることが報告されているが、その定量的評価は確立されていない.本研究では,到達・把握運動の3次元動作計測から取得される運動学的データを用いて運動恐怖による知覚運動協応の変容を定量的に分析することを目的とする。【方法】上肢の運動恐怖を伴う慢性疼痛患者を対象とし、健肢と患肢それぞれについて3次元動作解析を行った。3 次元位置磁気計測システムを用いて、到達・把握運動の運動軌跡を計測した。到達運動における運動速度の時系列変化を算出し,運動開始から運動速度がピークに達するまでの区間(加速期),運動速度のピークから運動終了までの区間(減速期)に分割した。太さの異なる目標物に対する把握動作の指最大開大幅と手運動速度を計測し、目標物の太さに依存する運動量に応じた運動恐怖の変化を動作解析により客観化できるか評価した。【結果】患肢運動は健肢運動に比して明らかに速度が遅く、指最大開大幅も小さかった。この傾向は、目標物の太さに応じて増悪した。ただし、目標物の太さが大きくなると健肢では指最大開大幅が大きくなり、目標物の太さに応じたこのような傾向は患肢でも維持された。【考察】患肢でも目標物の太さに応じた指最大開大幅は変化したことから生理的な運動表象の立案は行われていると考えられる。一方、目標物の太さに応じて加速期の運動が特に障害され指最大開大幅が不自然に小さくなっていること特に障害されていることから運動実行までの過程で運動恐怖が修飾していることを示唆する。これらの結果から、知覚-運動協応の中枢神経系における内的モデルに運動恐怖による修飾回路を組み入れることに成功した。
著者
星野 陽子 住谷 昌彦 日下部 良臣 佐藤 可奈子 冨岡 俊也 小川 真 関山 裕詩 山田 芳嗣
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.98-102, 2012-06-25
参考文献数
11

エピドラスコピーは腰部脊柱管狭窄症などによる痛みに対して,硬膜外腔の癒着剥離および神経根周囲の洗浄を目的として行われる治療手技である.このようなエピドラスコピーの利用法とは異なり,腰部脊柱管硬膜外腔内嚢胞性病変による腰下肢痛に対して,エピドラスコピーを造影のために使用し,Tuohy針による穿刺によって嚢胞性病変の縮小と痛みの緩和に成功した1症例を経験したので報告する.症例は52歳の女性である.半年前から左臀部痛および左下肢痛を発症し,腰椎MRI所見から第4腰椎硬膜外腔内の嚢胞性病変による第5腰髄神経根の圧迫が痛みの原因と診断した.嚢胞性病変の成因としては第4/5腰椎椎間関節滑液嚢胞が示唆された.まず行われた低侵襲治療である椎間関節ブロック,腰部硬膜外ブロック,薬物療法では痛みは軽減しなかった.そこで,エピドラスコピーを用いて直視的に嚢胞を穿破しようと試みた.しかし,エピドラスコピー本体での穿破は硬度が足りず成功しなかったため,硬膜外腔の局所的な造影で不染部から嚢胞の位置を同定し,第4/5腰椎椎間板間隙からTuohy針を穿刺し嚢胞内容の減量に成功した.穿刺直後から痛みは軽減し,その後の腰椎MRIでは嚢胞性病変が縮小した.
著者
和家 尚希 佐野 祐子 相宅 玲志 住谷 昌彦 熊谷 晋一郎 國吉 康夫
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 : BMFSA
巻号頁・発行日
no.27, pp.9-10, 2014-11-11

Following amputation, patients often report severe pain in the vivid phantom awareness of their lost limbs, which is called as phantom limb pain (PLP). Some researchers have treated PLP with providing the visual images of the lost limbs to the patients by using a mirror. We extended this paradigm to the multimodal (visual, auditory and tactile) Virtual Reality (VR) system to provide more efficient images of the phantom limb. We applied this VR system to 4 PLP patients in two different tactile conditions for 5 minutes respectively. The following findings were obtained: 1) PLP improved immediately after the VR training; and 2) Affective pain characteristics ameliorated greater than sensory pain characteristics; and finally 3) Tactile feedbacks on the healthy limb had inverse effects for the acquisition of voluntary movements of the phantom limb. These preliminary results show that we have achieved a milestone toward the neurorehabilitation platform system for PLP.
著者
真下 節 柴田 政彦 井上 隆弥 阪上 学 中江 文 松田 陽一 住谷 昌彦 喜多 伸一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

神経障害性疼痛モデルマウスでは疼痛出現後しばらくしてうつなどの情動異常が発症するが、うつ行動の発現にはα2Aアドレノ受容体が深く関与していることを明らかにした。さらに、モルヒネ耐性マウスではデクスメデトミジンの鎮痛効果が増強し、後根神経節のα2A、α2Cアドレノ受容体mRNAの発現増加がみられた。また、神経障害性疼痛モデルラットでは、セロトニン2C受容体のRNA編集が起こり、受容体作動薬の疼痛軽減効果が増強された