著者
三木 かなめ 福井 誠 伊藤 博夫
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

平成29年度は、天然植物キャッツクロー抽出物による歯周病原関連細菌に対する抗菌作用およびヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の培養系における抗酸化作用・抗炎症作用について、本格的に評価することを目的として行ってきた。またキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価についても行ってきた。それらの結果について、抗菌作用の評価は、BHI broth培養系に、キャッツクロー抽出物を連続2倍段階希釈法で投与し歯周病原菌を24時間培養した後、菌の生育度への影響を調べた。生育度を濁度として吸光度計で測定したところ、P.g. とP.i. に対して、生育抑制が確認され、抗菌性が示された。HGFにおける抗酸化作用の評価は、キャッツクロー抽出物が過酸化水素の添加による酸化ストレスを抑制するかどうかを調べた。細胞内で酸化をうけて蛍光発色するプローブを用いて、共焦点レーザー顕微鏡にて検出を行ったところ、キャッツクロー抽出物の添加によって、蛍光発色が抑制されてくることがわかり、HGFでのキャッツクローの抗酸化作用が示唆された。次年度では、再現性を確認してゆく。また抗炎症作用の評価は、P.g.LPS刺激による炎症性サイトカインの発現増強を抑制するかどうかを調べるために、条件の検討を行っており、次年度引き続き行ってゆく。マクロファージ培養系を用いたキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価は、その前に、酸化ストレスで産生した酸化型LDLによるマクロファージの泡沫化促進モデルを構築することができた。次年度は、平成29年度で構築したマクロファージ培養系を用いて、キャッツクローによる泡沫化抑制効果を調べてゆく予定である。本年度までの検討から、キャッツクロー抽出物の歯周病予防および治癒への利用にむけての有用な基礎研究の結果が認められはじめてきている。

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