著者
玉木 直文 松尾 亮 水野 昭彦 正木 文浩 中川 徹 鈴木 雅博 福井 誠 谷口 隆司 三宅 達郎 伊藤 博夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.316-321, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
19

糖尿病や腎機能と歯周病との関連についての研究は数多く行われてきたが,これらの疾患のバイオマーカーと歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーとの関連についての研究は少ない.本研究では,歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーと糖尿病・腎機能マーカーとの関連性について検討を行うことを目的とした. 市民健診参加者と糖尿病治療の患者を対象とした.対象者の歯肉溝液を採取し,アンチトリプシンとラクトフェリン濃度を測定した.また,糖尿病コントロール指標として糖化ヘモグロビン(HbA1c),腎機能マーカーとしてクレアチニンと推算糸給体濾過量(eGFR)を測定し,これらを従属変数とした重回帰分析を用いて,それぞれの関連性を検討した. その結果,炎症関連歯肉溝バイオマーカーと血清のすべての検査項目において,年齢・性別調整後の平均値は市民健診受診者と糖尿病患者の間で統計学的な有意差があった(p<0.001).また,糖尿病などに強く関連する交絡因子である年齢や性別などの調整後でも,歯肉溝中の炎症関連バイオマーカーは糖尿病・腎機能マーカーとも関連することが認められた.本研究の結果から,客観的に評価された歯肉溝バイオマーカーと糖尿病や腎機能マーカーとの間には有意な関連があることが示され,医科−歯科連携における健診ツールとして,歯肉溝液中のバイオマーカーの測定の有用性が示唆された.
著者
三木 かなめ 玉木 直文 伊藤 博夫
出版者
四国歯学会
雑誌
Journal of Oral Health and Biosciences (ISSN:21887888)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.16-25, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
49

Herbs have long been used to maintain mental and physical health, and are now referenced to as medical herbs. At present, herbs are commonly utilized as tea, spice, perfume, etc., and are also used as traditional medicines and relaxation tools. In recent years, life style diseases, such as atherosclerosis, diabetes mellitus and arthritis, are rapidly increasing, despite the progress of western medicine. Therefore, integrated medicine for patient-centered medical treatment that combines western medicine and “complementary and alternative medicines (CAM)”, can be adopted to treat various diseases. Phytotherapy with herbs has been getting increasing attention because its efficacy and pharmacological actions have been proven in evidence-based studies, when compared with other types of CAM. This paper introduces the effectiveness of herbs to treat dental diseases, and to treat systemic diseases associated with periodontal disease, using the two American databases for herbs, i.e., “Natural Standard Herb & Supplement Reference” and “Natural Medicines Comprehensive Database”. One of herbs to treat systemic diseases associated with periodontal disease, is a plant called Cat's Claw, which is known to have many active ingredients and beneficial properties. The characterization and the availability of its components for prevention and treatment of periodontal disease are introduced in this paper. Natural herbs, such as Cat's Claw, contain many beneficial phytochemicals including polyphenols, sterols and terpenoids. Therefore, they possess various useful properties, i.e., anti-inflammatory, antioxidant, and anti-bacterial activities. In addition, they have very few known side effects. Ingestion of natural herbs as crude extracts, such as tea, is being considered for the promotion of individual health in daily life.
著者
三木 かなめ 福井 誠 伊藤 博夫
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

平成29年度は、天然植物キャッツクロー抽出物による歯周病原関連細菌に対する抗菌作用およびヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の培養系における抗酸化作用・抗炎症作用について、本格的に評価することを目的として行ってきた。またキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価についても行ってきた。それらの結果について、抗菌作用の評価は、BHI broth培養系に、キャッツクロー抽出物を連続2倍段階希釈法で投与し歯周病原菌を24時間培養した後、菌の生育度への影響を調べた。生育度を濁度として吸光度計で測定したところ、P.g. とP.i. に対して、生育抑制が確認され、抗菌性が示された。HGFにおける抗酸化作用の評価は、キャッツクロー抽出物が過酸化水素の添加による酸化ストレスを抑制するかどうかを調べた。細胞内で酸化をうけて蛍光発色するプローブを用いて、共焦点レーザー顕微鏡にて検出を行ったところ、キャッツクロー抽出物の添加によって、蛍光発色が抑制されてくることがわかり、HGFでのキャッツクローの抗酸化作用が示唆された。次年度では、再現性を確認してゆく。また抗炎症作用の評価は、P.g.LPS刺激による炎症性サイトカインの発現増強を抑制するかどうかを調べるために、条件の検討を行っており、次年度引き続き行ってゆく。マクロファージ培養系を用いたキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価は、その前に、酸化ストレスで産生した酸化型LDLによるマクロファージの泡沫化促進モデルを構築することができた。次年度は、平成29年度で構築したマクロファージ培養系を用いて、キャッツクローによる泡沫化抑制効果を調べてゆく予定である。本年度までの検討から、キャッツクロー抽出物の歯周病予防および治癒への利用にむけての有用な基礎研究の結果が認められはじめてきている。