著者
諸 洪一
出版者
札幌学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成17年度〜平成19年度の科学研究費補助金を受けて行った本研究の課題は、宮本小一の「朝鮮論」と宮本が進めた日朝修好条規(以下、通称の江華島条約と略す)および「附属条約」であり、明治初期の日本の外交政策における宮本の朝鮮政策の意義と位置づけを試みた。研究結果の概要は次の通りである。1.江華島条約を構想し、この構想に沿って交渉を進めたのは、宮本であったことを明らかにした。江華島条約の構想は、明治2年末の宮本の「朝鮮論」が下地になった。江華島条約は、宮本の穏健かつ穏便な「朝鮮論」に則って成約に到っていた。今までの江華島条約に対する評価は、受け身に徹する朝鮮側とこれに一方的な強要をする日本側との対立構図として描かれていた。しかし本研究の結果江華島条約は、宮本の穏健な「朝鮮小国論」に基づいた日本側の消極的な朝鮮開国交渉と、日朝外交通商体制を主導的に措定しようとする朝鮮側の積極的な交渉とが、大きな対立点を露呈することもなく折り合って成立したことを明らかにした。2.江華島条約同然その「附属条約」を構想し交渉に当ったのも、宮本であったことを明らかにした。宮本が成約に導いた江華島条約は、日本外交の穏健論の集大成であり、したがって理事官宮本によって進められた「附属条約」は、当然ながら宮本の穏健かつ穏便な外交政策が実行されたものであった。ただし宮本の穏健外交とは相容れない強硬論の京城公使館設置問題が、宮本によって主張された。京城公使館設置問題は、榎本武揚によって提起された問題であった。宮本の穏健路線の連続である「附属条約」交渉に、急遽公使館設置のような強硬論が試されたのは、榎本による「英国」流の権力政治観と原理原則的な万国公法の適用を試みる強硬外交が台頭してきたためであった。その後の日本外交は、穏健な宮本外交から強硬な花房(榎本)外交へ転換していくのである。

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こんな研究ありました:近代日朝関係史再考-宮本小一の朝鮮論と宮本が進めた日朝修好条規(「江華島条約」)(諸 洪一) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/17520445
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