著者
田沼 伸久
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

本研究は、特許データに基づき企業のイノベーション活動についての計量分析を行い、その結果を可視化することで、視覚的に地域の産業構造を分析することを支援するシステムを開発することを目的とする。本研究で提案する手法により地域企業のイノベーション活動を可視化することは、地方行政の地域産業に対する理解度を高めることを支援するものであり、地方行政の産業振興政策の立案に大いに役立つものであり、産学官連携によるオープンイノベーション型の地域産業基盤の形成にも寄与するものと考えている。分析対象地域を東京都日野市、府中市、八王子市とし、当該地域におけるイノベーション活動の可視化を試みた。3市は、大手企業の本社機能や研究開発拠点が数多くあり、それらを中心とした中小企業の産業基盤が形成された国内有数の産業集積地域である。出願時期が2004年から2014年の公開特許公報を対象とし、発明者の住所から研究開発が行われている事業所を推定し、①地域別特許出願数の推移、②1事業所あたりの出願数、③ツリーマップによる地域別の事業者の多様性分析を行った。これらの分析の結果、地域別の出願推移(イノベーション活動の推移)とその特性が明らかとなり、どの地域においても減少方向であることが明らかとなった。また、1事業所当たりの特許出願数を地域別に比較したところ、他の2市に比べて、日野市が飛躍的に高い値を示していることが分かった。ツリーマップによる3市の事業所の多様性を分析したことにより、地域産業のイノベーション活動という視点になった各地域の産業構造を明らかにすることができた。また、それらの3市における2004年と2014年の比較を行った結果、年代の違いによる産業構造の変化を視覚的に明らかにすることができた。

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「地方行政の産業振興政策の決定に資する地域イノベーションの分析・可視化ツールの開発」<https://t.co/WYZlXgF3wz>

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