著者
岩下 俊治 Shunji IWASHITA 明星大学人文学部英語英文学科
出版者
明星大学
雑誌
明星大学研究紀要 人文学部 (ISSN:03881318)
巻号頁・発行日
no.41, pp.111-121, 2005-03

人間の会話は言葉による伝達によってなされるが、実際には、言葉によって意味されること以外のことも伝達される。例えば、次の発話について考えてみる。A:It's hot, isn't it?(今日は暑いですね。)これは単に知り合いに会って、会話を始める挨拶として発話されたという場合であれば、余り重要な意味はない。いきなり会話を始めるのは唐突なので、前置きのようなものとして発話されたと解釈される。しかし、場合によっては、「暑いからエアコンのスイッチを入れてほしい。」とか、「暑いから何か冷たい飲み物がほしい。」とか、「この飲み物熱くて飲めないよ。」といった意味の伝達と解釈できる場合もある。人間は、相手の発話をその場の状況や文脈に応じて、いつも最もふさわしく解釈しようとする。それによって自然な会話の流れが生まれる。この「最もふさわしく解釈する」にはどのような原則が関係しているのか。Sperber&Wilson(19952)が提唱している関連性理論が、この問題に対する一つの答えを与えている。本研究は、この関連性理論の有効性にっいて検証する。結論からいえば、関連性理論は、発話の解釈という点では、有効である。また、関連性理論が主張する、「人間は最小の労力で最大の認知効果を得ようとする」という原則は、Chomsky(1995)に代表される生成文法が提唱する普遍文法の原則であるEconomyPrinciple(経済性の原則)と一致すると考えられる。即ち、人間の言語活動を含む認知過程(Cognitiveprocess)は、この経済性の原則に従っていると考えられる。本研究を通して以上のようなことが明らかになった。
著者
安田 誠一
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

・研究目的18歳人口の減少等、外部環境の変化に伴い、大学は戦略的な経営を行う必要があり、現場に近い大学職員の経営企画能力の育成は極めて重要となってきている。中教審の答申では、「業務の高度化・複雑化に伴い、大学院等で専門的教育を受けた職員が相当程度いる」ことが、教員・職員協働で大学改革を実行する必要条件になるとしている。OJTや集合研修と異なり、集中して体系的に、専門分野について学べる大学院は、大学職員の職能開発の有効な手段であると考えられる。一方で、職能開発における大学院の優先順位はそれほど高くなく、大学職員自身が業務外の時間に経済的負担を負って進学している現状がある。そこで本研究では、職場である大学側と社会人大学院を修了した大学職員との間の「大学院教育の有用性」に対する意識の違いを明らかにすることを目的として研究を実施した。・研究方法全国の国公私立大学(771校)の人事部を対象に質問紙法にて「職能開発における大学院教育の位置づけ」を問う調査を行うと共に、特徴的な大学2大学にヒアリング調査を実施した。・研究成果本調査の有効回答数は272校であり、回答率は35.3%であった。調査の結果、大学職員の能力開発については98.9%、自己啓発については95.6%の大学がその必要性を感じていることが明らかとなった。一方、大学院を「自己啓発の場として望ましい」とした回答は全体の19.5%であり、大学院進学を支援する制度を持つ大学は、22.1%であった。先行研究において明らかになっている大学院を修了した大学職員自身が感じる「大学院の有用性」と、職場側が感じる「大学院の有用性」が大きく乖離することが浮き彫りとなった。加えて、ヒアリング調査においては、大学院で学んだ知識の実務への還元についての不安も挙げられた。
著者
岩野 摩耶
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

【研究目的】志願者及びその保護者を対象とした情報公開に焦点をあて、対象者のニーズに応える積極的・効果的な情報公開について検証し、集積され発信された大学情報を大学の職員組織の改善に活用する方法を模索することで、情報公開を大学の改善活動(IR)に資することを目的とする。【研究方法】①アンケート調査 : 対象者に求められている情報(ニーズ)の把握と蓄積方法、情報収集及び発信方法、職員組織の連携の課題を分析するため、全国の私立大学(大学院大学を除く)の入試広報担当者に対して郵送により調査(2014年11月~12月。配付数 : 580、回答数 : 239、回答率 : 41.2%)。②国内インタビュー調査 : 国内大学3校(IR関連部署を設置している大学)に対して、学内での情報収集・蓄積、意思決定への活用等関連業務に関する調査(2014年9月~12月)。③国外インタビュー調査(英国) : 4つの大学のIR関連部署に対して学内での情報収集・蓄積、意思決定への活用等関連業務に関する調査、及びHESA(英国高等教育統計局)に対して各大学からの情報の集約・活用等関連業務に関する調査(2015年2月)。【研究結果】国内大学では情報の収集・分析を進めているものの改善指摘にとどまり、実際の改善への反映、学内外への発信方法等について試行錯誤段階の大学が多いという結果が得られた。一方、英国大学では情報の収集・分析結果はトップ層・関連部署と共有され、その際には改善策まで提示されていた。これは、大学トップへの報告頻度の多さや、学外からの注目度の高さが主たる要因であり、学内外への情報発信の方法や見せ方に多くの時間を使用していた。今後は、志願者等の直接的なステークホルダーのみならず、目に見えにくい国内外のステークホルダーも意識し、自大学の魅力を引き出せるような情報収集・分析・報告・改善・発信のしくみをつくることが必要である。

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著者
小堀 桂一郎
出版者
明星大学
雑誌
明星大学研究紀要. 日本文化学部・言語文化学科 (ISSN:13444387)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.7-11, 2004-03-25
著者
岩野 摩耶
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

情報公開に焦点を当て、大学職員のもつノウハウを活かして、大学情報をどのような定義(算出方法)で収集・共有すべきかを検証するとともに、集積され発信された大学情報を大学の職員組織の改善に活用する方法を模索することで、情報公開を大学の改善活動(IR)に資することを目的とする。【研究方法】①文献調査 : 国内外における大学の数値情報の定義について、国外は文献や各種ランキング、国内は各媒体からのアンケート等をもとに調査(2015年7月~10月)。②国内インタビュー調査 : 国内大学2校(IR関連部署)に対して、学内での情報収集・蓄積、学外への発信、意思決定への活用等関連業務に関する調査(2015年10月~11月)。③アンケート調査 : 全国の私立大学(大学院大学を除く)のIR担当部署の担当者に対して、郵送により調査(2016年2月~3月。配付数 : 582, 回答数 : 201, 回答率 : 34.5%)。【研究結果】英国では大学の基礎的な情報がHESA(英国高等教育統計局)を通じて学外に提供されており、1つの定義に則った情報が活用されるため、標準的・統一的な大学情報を利用することができる。また各大学も統一的な指標をもって自らの立ち位置を比較し、戦略を立てることができる。これに対して日本では各種媒体が個々の大学に調査を行うため、調査ごとに定義が異なり、各大学や対応部署の判断によって左右される可能性がある。そのためステークホルダーのみならず、大学内で情報を活用する際に、定義の異なる情報を利用してしまう危険性がある。今後は、各大学内で共有する情報のみならず、各大学の提供する情報の定義を統一化する必要があり、情報を学内外に対して戦略的に活用する方策が求められる。そのためには、様々なデータ処理がある中で、各部署が効率的に正確な情報を集約し取りまとめて集積し、部署間で連携するしくみづくりが必要である。
著者
元治 恵子 辻 竜平 太郎丸 博 三輪 哲 田辺 俊介 長松 奈美江 脇田 彩 斉藤 知洋
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、「職業に関する意識調査」を実施し、従来の職業威信スコアのバージョンアップを行うとともに、職業構造の変化に対応する、職種に加え、性別、雇用形態、企業規模などを反映した社会的地位尺度を作成した。職業威信スコアは、性、年代、学歴別では、グループ間に高い相関が見られ、時点間でも変化は見られず、スコアの頑健性と信頼性が改めて強調されることになった。しかし、性別、雇用形態、企業規模の情報が評定職業に付与されていた場合には、同じ職業であっても人々の評定に違いが見られた。多元的地位尺度を測定した職業以外に拡張し、さらに精緻化していくことが喫緊の課題である。