著者
森田 美佐
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01 (Released:2017-04-28)

本研究の目的は、働く女性のみならず、男性も子どもも“幸せ”になる職場の女性活躍は、どうすれば実現するのかを、個人と家族の生活の質向上を目指す家政学とジェンダーの視点から、明らかにすることである。女性活躍をめぐる先行研究では、女性の離職率の低下、女性の仕事と家庭の両立を可能にする働き方の改革、女性管理職の登用等は、企業の組織の活性化はもちろん、生産性の向上などに利点があることが指摘されている。その結果、実際にそのような施策を打ち出し、女性を積極的に採用・登用する企業も増加している。研究としても、女性がキャリア形成に意欲的になれる雇用管理の在り方や、女性が昇進を望むような職場環境づくりに何が必要か等に関心をもつものが散見される。しかし日本の働く男女の意識や行動を見る限り、職場における女性活躍推進の数々の施策は、女性の労働者としての人権や、職業生活と家庭生活の充実を保障する環境づくりに向っているとは言い難い。加えて男性も、仕事のみならず、家庭や地域の中で活躍できる環境が形成されているのかどうか、疑問が残る。働く女性も男性も、ワークライフバランスの重要性を指摘されながらも、実際は、「仕事を取るか、家庭生活を取るか」の二者択一の状況の中で生活を営んでいると言わざるをえない。家庭生活を重視する労働者が、労働市場では周縁的な位置づけに留まる社会とは、家庭責任を重視すれば、男女が〝平等”に労働市場の中で二流の労働者として扱われる社会に過ぎないのではないか。これは職場と家庭の男女共同参画の実現、男女労働者の人間らしい働き方と暮らし、そして子どもが親のケアを受ける権利を保障しない。

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