著者
中里 まき子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

フランス革命期の反カトリック政策に抗して、信仰を貫いたために処刑されたコンピエーニュ・カルメル会の16人の修道女は、特にフランシス・プーランクのオペラ『カルメル会修道女の対話』(1957年初演)の題材として知られている。しかし、オペラの元となった文学作品の創作や、革命期から現代まで史実が継承されてきた経緯などについて、総合的な研究は試みられていない。そこで2017年度には、下記の方法により、16殉教修道女の表象の変遷を辿り、そこに映し出されるフランスの社会状況を浮き彫りにした。まず、第三共和政期に「フランス革命」が国民の共通の記憶とされ、理想化されたとき、16殉教修道女の存在が革命史から排除されたことを、ジュール・ミシュレ『フランス史』等の読解を通して明らかにした。一方、カトリック世界において16殉教修道女が崇敬の対象となり、その記憶が継承された経緯を探るべく、コンピエーニュ・カルメル会の受肉のマリー修道女が書き残した手記、および16殉教修道女の列福時(1906年)に刊行された書籍等を検討した。その結果、「共和国の歴史」と「カトリックの歴史」は、いずれも客観的なものではなく、19世紀フランスにおける両陣営の対抗関係を反映するものであることが明らかとなった。こうした研究成果を、日本フランス語フランス文学会東北支部大会において「コンピエーニュ・カルメル会殉教修道女の表象とフランス社会」の題目で発表し、論文として支部会誌に投稿した。

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