著者
鍋島 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は、現代政治経済学の教科書(単著)の執筆にほとんどを費やした。現代の主流派である新古典派経済学との対抗関係を明らかにしながら、政治経済学の多様なアプローチにもとづき、資本主義経済の基本的仕組みについて解説するものであり、近く公刊の予定となっている。新古典派経済学の理論については夥しい数のミクロ経済学とマクロ経済学の教科書が存在する一方で、政治経済学では入門レベルの教科書はいまだ少ない。これまでマルクス経済学の教科書は数多く刊行されているものの、それらのほとんどは、『資本論』の体系に沿ってマルクスの経済理論を解説することに主眼がおかれている。今日においても、マルクスの経済理論を学ぶことに大きな意味があることは疑いないものの、現代の資本主義経済をとりまく諸問題を理解するためには、マルクス経済学の新しい展開についても知る必要があるし、さらには、ケインズとカレツキを源泉とするポスト・ケインズ派の経済学についての知識も欠かすことができない。本書では、マルクスの経済理論の主要部分についての基本的な知識を得ることができるように配慮する一方で、現代マルクス経済学やポスト・ケインズ派経済学における新しい理論的成果も積極的に取り入れている。しかし、さまざまな学説を並列的に紹介するのみに終わるのではなく、それらの学説のあいだの共通点と相違点、および補完関係についても論じているので、読者は、マルクスとケインズの総合によって新古典派経済学に対する代替理論の構築を進めている政治経済学の今日的な意義と課題について大まかな理解を得ることができるはずである。

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