著者
室田 浩之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年5月から長崎大学へ転出するに伴い、新たに当該施設でゲノム解析倫理申請、病理組織を使ったトランスクリプトーム解析研究の立ち上げを行い、次の進展が得られた。指定難病である特発性後天性全身性無汗症の病因解明を目的として、患者同一個体の有汗部と無汗部の皮膚病理組織残検体からマイクロダイセクションにより摘出した汗腺から微量のtotal RNAを抽出し、RNAシークエンシングを用いて病因に関わる遺伝子の発現を探索した。IPAソフトウェアを用いた発現遺伝子解析の結果、geneontology解析では免疫系や感覚受容に必要な遺伝子の発現が発汗機能の損なわれた汗腺では減少していることが確認された。特にリンパ球の性質を決める転写因子や、サイトカインが正常汗腺で発現していたことは大きな驚きであった。Pathway解析でもそれらの間に相関関係が見られ、汗腺は免疫臓器としての一面を有することが予想された。さらに汗腺にはある種の嗅覚受容体が発現していることがRNAシークエンシングで判明し、現在、それら遺伝子の発現をリアルタイムPCR、免疫染色、in situ hybridizationによって確認している。これら因子が特発性全身性無汗症の病因解明に繋がり、有効な治療の確立に貢献できるものと期待を寄せている。また診療カルテから年齢、性別、既往歴・家族歴、病歴、検査結果、治療内容とその効果に関する情報を得て、遺伝子発現レベルと患者の基礎データを照らし合わせている。これらのデータを総合的に解釈し、無汗症治療に光明をもたらし、その結果熱中症患者数の減少につなげることで国民にフィードバックする予定である。

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@mathmrk_neusci たぶんunpublishedな結果を講義で言っていたんだと思います。生理学的な意味は自分にもわかりません… https://t.co/xvvvjfyG2Y

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