著者
西村 直子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,ヤジュルヴェーダのマントラ(ヤジュス:個々の行作に伴って唱える祭詞)と,これに対するブラーフマナ(マントラの解釈,意義付けと神学的議論)の翻訳・精査を通じ,古代インドの祭式文献及び祭式の展開を最古層から解明することを目的としている。特に「搾乳と酸乳製造」に関わる諸問題を精査・解明し,穀物祭の準備儀礼に留まらずヴェーダ祭式全体との関連の中で解明することを目指した。本年度は,インドラによるヴリトラ殺しの後日譚を中心として研究を進めた。この神話は,ヤジュルヴェーダ文献の古層以来,特別な新月祭の供物であるサーンナーィヤと結びつけて議論が重ねられてきた。その展開を辿り,ヴァージャサネーイン派のシャタパタブラーフマナに至って,ソーマの循環理論の整備を促したことを指摘した。サーンナーィヤは,酸乳と熱した牛乳とを献供の直前に混ぜ合わせたものである。本祭前日(ウパヴァサタの日)の晩に搾乳した牛乳を酸乳にし,本祭当日の朝に搾乳した牛乳を加熱する。従来は朔の夜に先立つ日中にウパヴァサタを行っていたものと思われるが,ヴァージャサネーイン派は,月の満ち欠けと神々の食物たるソーマが循環するという観念とを連動させ,新月祭のウパヴァサタを朔の夜が明けた日中に行うべきであると主張する。地上の草や水に宿ったソーマを牛達に回収させ,牛乳として手に入れ,献供することによって月を天界に返すことになる。しかし,この新たな方法は貫徹せず,ヴァージャサネーイン派の人々も朔の夜に先立つ日中にウパヴァサタを行っていたことが贖罪法の議論から推測される。その背後にはソーマの循環理論の整備が関与しており,後の五火説を準備する基盤の一つとなっていたことが窺われる。

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こんな研究ありました:ヴェーダ祭式における搾乳と酸乳製造の研究(西村 直子) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18720013
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