- 著者
-
藤井 雅文
- 出版者
- 富山大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
本研究では、電磁気学および電子物理化学を基礎とする新しい原理による短期地震予測法を確立することを目標としている。地震の直前には地殻の岩盤に圧力が加わることにより、応力誘起された大量の電荷が岩石内部から放出される。そしてこれらが地表面に出現し滞留することで上空の電波によって励起されプラズマ振動する。これがさらに上空の電波伝搬に影響を与え、通常の状況では生じ得ない遠方への超長距離伝搬が引き起こされることが明らかになっている。特に地殻活動に伴う電磁気現象を理論と実験観測の両面から考察し、地震の前に地殻に作用する応力の変動を精密な電波観測により広範囲に検知し、その観測精度を向上することにより地震の短期予測を実現することを目指している。高感度低雑音の観測装置を用いて電磁波の観測を実施している。これまでに規模の大きな地震の数日前から前日にかけて、異常な電波伝搬現象を観測している。特に2022年3月16日の福島沖M7.4の地震の直前に非常に明瞭な電磁波異常を観測した。この観測結果により、これまでの異常現象が地殻活動に由来するものであることを示すことが可能となり、地震前兆時に異常信号が観測可能かどうかの論争に終止符を打てる可能性が高まっている。また、我々は地震予測の適中率と地震発生の予測率を評価しており、近年はそれぞれ90%近い値を得ている。さらに、観測データを深層学習により解析し異常信号から地震の発生を予測する研究を実施しており、高い精度で予測できる結果を得ている。これらの結果をすでにまとめて科学技術誌に投稿し、現在審査結果を待っている。