著者
平井 洋子
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

H21年度は,H19年度とH20年度に行った授業の記録および授業時の学生の会話記録に基づき,教員の説明のしかたで改善すべき点をあらためて検討した。とくに測定の妥当性という概念とその重要性を半年間の講義と実習で会得してもらうということを最優先に据えてこれまでの授業内容を見直した。その結果,具体的な心理尺度を研究例から紹介すること,仕様書の事例を初めに見せること,を授業の初めの方で行うことにした。具体的には,その研究例では測定したい内容をどう定義して,どのような特徴や使用用途を備えさせようとしているのかを研究論文から抜粋し,仕様書を作って与えた。またその心理尺度の項目は仕様書に定義された内容をちゃんと測っているかを学生に検討させ,更にワーディング上の問題点や改善点なども考えてもらった。この準備を行ったことで,項目を集めれば心理尺度ができるわけではないことが,講義で解説するよりも理解できたようだった。また,後に自分たちでオリジナルの尺度を作るときの予行練習ができた。逆に,評定尺度法の説明や注意点,ワーディングや選択肢の並び順による回答の誘導など,調査法としては興味深い知識でも,心理尺度の作成に直接関わらない内容は儒禦プログラムから削除した。H21年度の授業では,チェックリストタイプや,異なる構成概念を包含する総合指標タイプを目指すグループが現れたため,ひとつの構成概念を測定するための尺度との違いを妥当性に絡めて説明する良い機会に恵まれた。この点はこれまで非公式なアドバイスとして行うのみであった。今後の考えられる授業プログラムとしは,授業の初期に研究例を紹介し,その仕様書を示し,「抽象的な構成概念を反映する道具」としての心理尺度という位置づけを行ったのちに,チェックリストタイプや総合指標タイプの例も示して対比させることが考えられる。

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