著者
土井 健司
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究を通してカッパドキア三教父の救貧に関わる思想と実践について総合的に明らかにすることができた。大バシレイオスは369年の食糧危機に際して富裕者に食糧の供出を求めて実現し、さらに72年には世界最古の病院の一つ「バシレイアス」を建て、主にレプラの病貧者のケアを実践する。ナジアンゾスのグレゴリオスはこれをサポートする説教を行い、ニュッサのグレゴリオスも同様の説教ならびに他の救貧説教を残している。彼らの思想では、貧者はキリストであり、貧者へのケアはキリストへの奉仕になる。これを支えるのが受肉論である。逆に言えば、受肉論によってはじめて、社会のなかで人間扱いされない貧者(特にレプラの病貧者)が「人間」としてクローズアップされるのである。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな研究ありました:四世紀カッパドキア三教父による救貧の思想と実践(土井 健司) http://t.co/18HAmCDE

収集済み URL リスト